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全血液型対応の製剤、製造へ=防衛省、薬事「例外化」調整―有事の輸血、混乱回避

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有事で負傷した自衛官への輸血を巡り、防衛省は、血液型を問わず投与でき、止血効果がある血小板を含む「全血」の血液製剤を製造、備蓄する方針を固めた。混乱する前線で、血液型検査などを省くことにより救命措置を簡素化する。同製剤は薬事承認されていないため、当面は例外的な扱いとする方向で厚生労働省と調整に入った。防衛省関係者が明らかにした。

失血は戦場で死因の多くを占め、米国の「対テロ戦争」では生存可能性がありながら死亡した兵士の死因の9割に上ったとされる。現在は日本赤十字社から血液型に応じた成分ごとの製剤を調達しているが、銃弾や爆弾の破片で大量出血した隊員が次々運ばれてくる戦闘現場では、血液型検査や成分を選んだ輸血は煩雑で、ミスを招く恐れもある。

このため、戦闘時などの輸血の在り方を検討している防衛省の有識者検討会は月内に、全血製剤を「極めて有用」と評価する提言を取りまとめる。政府は血液製剤について「自律的に確保・備蓄する態勢構築」(安全保障関連3文書)を掲げており、全血製剤についても関連経費を2025年度予算案に計上する方向で検討する。

多くの成分を含む全血製剤は、血小板が除去されたものしか承認されていない。防衛省は、製造過程で止血に有効な血小板を残しつつ、異なる血液型でも副反応の少ない「低力価O型」を用いる。採血、製造、備蓄、輸血の過程を自衛隊内で完結させる形で運用を始め、将来的に薬事承認を得る方針だ。

全血製剤は3週間程度保存できる。有事の兆候を踏まえ全国の低力価O型の隊員から採取。対象方面の自衛隊病院などを中継拠点とし、前線に送る。負傷後より早く輸血できるよう、最前線に立つ医師免許のない「第一線救護衛生員」も扱えるよう調整する。米軍への供給も視野に入れている。

時事通信社

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