慢性咳嗽(がいそう)について -2013年10月17日掲載-

呼吸器内科を受診する患者様の理由として、一番多い症状は咳だと言われています。

胸部X線検査での異常や喘鳴(呼吸のときにぜーぜー、ひゅーひゅーという)などがみられず、8週以上続く咳を「慢性咳嗽」といい、一番多いと言われています。

この慢性咳嗽の原因の約半数は咳喘息で、その次に多くみられるのが、消化器の病気である胃食道逆流症(GERD)です。
この胃食道逆流症の患者数は年々増加傾向にあります。胃食道逆流症により咳が出るメカニズムとして2つのケースがあります。

1つは、食道と胃を隔てている筋肉が一時的にゆるみ、胃酸が逆流して食道下部にある神経を刺激することで咳が出るケースです。1日に何度も咳が続き、特に昼間に多くみられます。

もう1つは、加齢などでゆるんでしまい、食道上部の喉あたりまで胃酸が逆流し、その胃酸が喉や気管から肺に入って咳が出るケースです。おのずと夜間の咳が多く、逆流する胃酸の量も多いために胸焼けや呑酸などの食道症状を伴いやすく、比較的、高齢者に多くみられます。

診察を受けて胃食道逆流症の可能性があると診断された場合、基本的にはまずプロトポンプ阻害薬(PPI)による治療を開始します。

薬物治療とともに、肥満を解消する、脂肪分や刺激物の多い食品を避ける、禁煙する、大量の飲酒をしないなど、生活習慣の見直しも必要になります。

安易に咳止めだけを飲み続けるといった対応では、慢性咳嗽を治すことは出来ません。

咳が数カ月にわたって続いているという場合は、ぜひ呼吸器内科や、専門の医療機関を受診してみてください。