関節リウマチとその治療薬について -2012年5月17日掲載-

関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、腫れや痛みが生じる病気です。適切な治療を受けずに炎症が長引くと、骨が破壊され、関節が変形してしまいます。

免疫とは本来、体外から侵入した細菌などの病原体を攻撃する仕組みです。ところが、自己免疫といって免疫が自らの組織を攻撃してしまうことがあります。

関節リウマチはそのようにして起こる自己免疫の一種です。何らかの刺激をきっかけに免疫の働きが活発になることで起こると考えられ、全身の関節に炎症が起こる可能性があります。

なかでも起こりやすいのは、手の指、手首、肘、股関節、膝、足首、足の指などの関節です。また炎症は、関節の左右対称に起こりやすいという特徴があります。

40~50歳代の女性に多いのですが、子供や若い人、高齢者が発症することもあります。関節リウマチは、発症から約2年間のうちに急激に進むことがわかっています。そのため、現在は早い段階から強力な薬を使って、治療をすることが重要と考えられています。

治療薬で中心になっているのは、免疫抑制薬のメトトレキサートと生物学的製剤です。メトトレキサートは、1週間の服薬スケジュールをたて服用する経口薬です。

生物学的製剤は遺伝子工学の技術を用いて作られる薬で、体内の特定の標的に作用します。現在は5種類あり、皮下注射か点滴で用いられます。これらの治療薬を使うと免疫の働きが抑えられるため、肺炎などの感染症に注意が必要です。

現在では、このような治療薬のおかげで関節の痛みや腫れなどがほとんどない「寛解」に達する患者様が増えてきました。関節の痛みやこわばりがあって、心配な時は、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。