薬局で患者様に血圧のお薬をお渡しする際、よく次のような質問を受けます。「私はそんなに血圧が高くないのに血圧の薬を飲まないとダメなのかなー」と。今回は、そんな疑問に2009年版高血圧ガイドラインを踏まえてお話ししたいとおもいます。
このガイドラインは、高血圧の標準的な治療を定めたもので2009年1月に最新のものが発表され、治療を開始する条件や血圧値の基準が新しく定められました。ガイドラインでは、上の血圧が30mmHg未満かつ下の血圧が85mmHg未満を正常血圧とされています。
血圧の高い状態が続くと血管の壁が害され徐々に血管壁が硬く厚くなって動脈硬化が進行し、血管が詰まったり破れたりして脳卒中や心筋梗塞などの発症を招きます。正常血圧より少し血圧の高い正常高値血圧と呼ばれる上の血圧が130mmHg以上140mmHg未満、又は下の血圧が85mmHg以上90mmHg未満の場合でも、糖尿病や腎臓病、脳卒中、心筋梗塞の治療をしている方や65歳以上、脂質異常症、メタボや喫煙などの要因がいくつか重なると、血圧を下げる治療が必要になる場合があります。
余り血圧が高くないのに血圧の薬を飲んでいる方はコレステロールの薬や糖尿病の薬も飲んでいらっしゃるのではないでしょうか。このような方は、危険因子がいくつかあり生活習慣の見直しも大切です。喫煙や節酒、日常的な運動、肥満の改善、ストレスの解消に加えて食生活での塩分制限が重要です。1日の塩分量は、6g未満が目安です。
みなさんが思っていらっしゃるより、高血圧の治療で目標とされる血圧は低めです。自己判断で薬を調達したり中止したりするのはよくありません。医師の指導に従い服用を続けるようにしてください。血圧の薬で心配なことがございましたら薬剤師にご相談ください。