糖尿病薬でおならがでる!? -2008年11月1日掲載-

糖尿病薬はすい臓に作用するものがよく知られていますが、今回は腸に作用して血糖値を下げるお薬について紹介します。

糖類は小腸粘膜に存在するαグルコシダーゼという酵素でブドウ糖に分解され小腸から吸収されます。

「αグルコシダーゼ阻害薬」は、この酵素の働きを抑え、糖類からブドウ糖への分解を遅らせます。結果、体内への吸収も遅くなり、食後に血糖値が異常に高くなる食後過血糖という症状が抑えられます。

αグルコシダーゼ阻害薬は食事と混ざり合うことで効果を発揮します。そのため、食事の直前に服用する必要があります。患者様から「飲み忘れた場合は食後に飲んだらいいですか?」と質問されますが、答えはNOです。なぜなら食後ではすでにブドウ糖への分解が始まっているからです。食事前に服用し、ブドウ糖の吸収を抑えることが重要です。食事を摂らなかった時は、分解する糖類がないので、飲む必要はありません。

副作用ですが、この薬は「放屁」いわゆる「おならが出やすくなること」が有名です。薬の副作用でおならが出るとは不思議と思われるかもしれませんね。糖は通常小腸で分解されますが、それを薬でブロックするため大腸の腸内細菌によって分解されます。このときガスが発生し、それがおならとして出るわけです。この副作用は人体に害を与えるものではないので安心して上手に付き合いましょう。

この阻害薬だけでは低血糖を起こすことはめったにありませんが、他の糖尿病薬との併用で低血糖が起こった場合には、注意が必要です。糖類をブドウ糖に分解する働きが抑えられているため、砂糖などではなくブドウ糖を摂るようにしてください。

服用について疑問や不安があるときは、かかりつけの薬剤師にお尋ねください。

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