お薬の飲み方の説明で、「コップ一杯の水で飲んでくださいね」と言われたことはないでしょうか。「水なんか飲まなくっても、薬ぐらい呑み込めるよ」という方もおられるかもしれません。でも、この一杯の水が、薬の効きめや副作用に随分関係しているのです。
ほとんどの飲み薬は、小腸から吸収されて血液の中に入り効果を現します。お薬が胃から小腸に運ばれるためには溶けた状態でなければなりません。水を飲まずに服用すると、薬が溶けにくいので吸収が遅れ、効き目が悪くなってしまいます。また、水を飲むと胃が刺激され運動が高まり、小腸への移動が早くなります。特に、食前や食間のように胃の中が空っぽの状態でこれを行えば、小腸への移動が更に早くなるため吸収がよく、効きめもよくなります。胃の弱い方や胃炎・胃潰瘍のある方にはお勧めできませんが、頓服の痛み止めを空腹時に多めの水で飲むと、効きめがよくなります。
また、錠剤やカプセルを水なしで飲むと、食道にくっついて薬がそこで溶け出し、潰瘍ができてしまうことがあります。特に、水なしで服用してすぐに横になったりすると、とても危険です。風邪などでよく処方される解熱鎮痛剤や抗生物質を水なしで服用すると、食道に潰瘍を起こすことがあるので十分注意して下さい。
ではどれくらいの水を飲めば安全にお薬を飲むことができるのでしょうか。病気などで水分を制限されている方でなければ、普通コップ一杯(180mlくらい)が適量です。
最後に、カプセルの苦手な方に飲み方のコツをお教えします。まず、水を少し飲んで口の中を潤してから、もう一度水を口に含み、薬を浮かべるようにして一気に飲みこんでみてください。そのあと、十分な水を飲むことも忘れずに。それでも飲みづらいときは、かかりつけの薬剤師に相談してみてください。