なかなか血圧の下がらない患者様から「薬の種類が増えたけど何故?」という質問をよく受けます。このような場合の多くは『作用の仕方の違う薬』が追加になっています。血圧を下げる薬には様々なタイプがあり、医師はその中から相性のよい薬を選んでいます。今回は代表的な高血圧の薬をタイプ別に紹介します。
- カルシウム拮抗薬…血管の細胞にカルシウムが入ると血管が縮まり血圧が上がりますので、それを抑え血管を広げます。また、心臓に栄養を与える冠動脈を広げる作用もあるので、狭心症の治療にも使われています。ここでいうカルシウムとは、血管の細胞に出入りするカルシウムイオンのことで、単にカルシウムを摂取しても高血圧にはならないのでご安心下さい。
- 利尿薬…腎臓で働き尿を増やして余分な水分や塩分を体から出すことで血圧を下げます。トイレが近くなるので朝に飲むことが多いお薬です。
- アンジオテンシンを抑える薬…アンジオテンシンはホルモンの一種で、血管を狭くして血圧を上げる作用があります。この種の薬はこのホルモンが作られるのを抑えその作用を遮断することで血圧を下げます。心臓や腎臓を保護する作用もあり、心臓や腎臓に疾患のある方に適しています。
- 交感神経に作用する薬…交感神経を調節するアドレナリンには血管を縮めるα作用と心臓の脈を速くするβ作用があります。この種の薬でα作用を抑えると血管が広がり、β作用を抑えると脈拍が減り血圧が下がります。但し、β作用を抑える薬は気管支も狭くするので喘息の方は要注意。
高血圧の治療では、一種類の薬を多く飲むよりも、『作用の仕方の違う薬』を組み合わせるほうが安全で効果的です。好きな人を振り向かせたい時、あの手この手で頑張りますが、それと似ているかも…。