月経前症候群(PMS)について -2025年8月29日掲載-

PMSとは月経前に現れる日常生活に支障をきたすような身体的な不調や精神的な不調のことです。
月経の3~10日前から現れ、月経が始まると自然と軽快・消失します。閉経前の数年間は月経中や月経後も症状が続くことがあります。
軽い症状を含めると80~90%の女性が月経前に何らかの不調を経験しています。特に若い女性に多い傾向があります。
そのうち、PMSと診断される女性は20~30%、月経前不快気分障害(PMDD)と診断される女性は1.2~6.4%です。
原因は明らかではありませんが、女性ホルモンの変動やストレスなど様々な要因が関係していると言われています。

代表的症状


以下のような症状が代表的ですが、様々な要因が関係しており個人差も大きくその種類は200種類もあるといわれています。

身体症状
下腹部の痛み、頭痛、おなかの張り、腰痛、便秘、乳房の張り、肌荒れ、体重増加、眠気、のぼせ等
精神症状
イライラする、気分が落ち込む、ぼーっとする、落ち着かない、集中できない、情緒不安定になる、家族や身近な人に八つ当たりしてしまう等

PMSの症状の中でも精神症状が重く日常生活が困難な場合には、PMDDに分類されます。

診断

  1. 過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経前5日間に、上記の身体症状と精神症状のうち1つ以上が存在。
  2. 月経開始後4日以内に症状がなくなる。
  3. 社会活動や学業、仕事など通常の活動に明らかに支障がある。

診断には、身体的な不調や精神的な不調が毎月決まって月経前に現れ、月経が始まると和らぐことの確認が大切となります。そのため、日々の症状を記録することが重要です。

PMSとの付き合い方

薬を使用しない方法

  • 症状の記録:アプリやメモを使って、月経前の様々な症状、症状が日常生活に与える影響などを記録する。
  • バランスの良い食事
  • アルコール、塩分、カフェインの摂取を控える
  • 軽い運動(有酸素運動、ストレッチなど)
  • 禁煙
  • リラックス(アロマテラピー、十分な睡眠、マッサージなど)
  • 身近な人へ月経前であることを伝える

薬を使った治療

  • 低用量ピルで排卵を抑える
  • 脳内の幸せホルモン(セロトニン)を増やす
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
    脳内のセロトニンの濃度を高くして気分の落ち込みに効果のあるお薬です。
    体調に合わせた漢方薬を使用する
    加味逍遥散、当帰芍薬散、抑肝散、桂枝茯苓丸などが使用されています。
    加味逍遥散
    いらいらやほてりのつらいときに
    当帰芍薬散
    むくみやめまい、頭痛、月経不順などに
    抑肝散
    イライラを発散できないストレスに
    桂枝茯苓丸
    体力のある人ののぼせや頭痛などに
  • 痛みやむくみなどそれぞれの症状に対して薬を使用する。(対症療法)
  • まとめ

    月経前の体の不調は多くの女性が経験しています。
    個人差がありますが、自分の症状に合わせて我慢せずうまく付き合っていくことが大切です。
    1人で抱え込まず、周囲への相談や、医療機関への受診も検討してください。