帯状疱疹とは
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(ヘルペスウイルス)が原因で皮膚に痛みや発疹が現れる病気です。
発疹が現れる場所は、頭部~顔面が17.6%、頸部~上肢が14.5%、上肢~胸背部が31.2%、腹背部は19.6%、腰臀部~下肢が17.2%です。日本の成人の約9割がこのウイルスを保有しており、発症する可能性があります。通常は、免疫力によって抑制されていますが、加齢、疲労、ストレスなどにより、免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化し、発症リスクが高まります。特に50歳以上で発症率が上昇し、80歳までに日本人の約3人に1人が罹患するとされています。初期症状は、体の左右どちらかに皮膚の痛みや痒みが出て、発疹や水ぶくれが帯状に現れ、最後はかさぶたになって治ります。帯状疱疹の痛みは、発疹が現れてから1週間後が痛みのピークと言われており、帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、その部分の痛みが長く続く帯状疱疹後神経痛(PHN)という後遺症が残ることがあります。
治療法は
帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬や鎮痛薬、鎮痛補助薬(神経痛の薬)、塗り薬などが使われます。早めにウイルスの増殖を抑制することが重要であるため、早期発見、早期受診が重要です。重症化を防ぐには発疹が出てから72時間以内に治療を開始することと言われています。早期発見するには、発疹と痛みが同時に出たり(ピリピリ、チクチク、ズキズキなど)、症状が体の片側に出ていたり、発疹の数が急激に増えたりした時はすぐに皮膚科を受診しましょう。痛みの治療も重要で、ペインクリニックなどを受診しましょう。また、環境の変化による心理的なストレスを感じていたり、疲労がたまっていたり、寝不足、感染症を患った時や季節の変わり目にも免疫力が低下しやすく帯状疱疹が発症しやすいので注意しましょう。
帯状疱疹後神経痛(PHN)とは
帯状疱疹に関連した痛みは、皮疹が出現する前の痛みである前駆痛、皮疹が出現している時の痛みである帯状疱疹痛、皮疹が消えた後も残る痛みである帯状疱疹後神経痛(PHN)があります。50歳以上では、約2割の患者さんに起きる後遺症です。治療としては、薬物治療やペインクリニックでの神経ブロック注射があります。帯状疱疹発症から3カ月以内で痛みが強い場合には、神経ブロック注射をしたほうが、痛みが長引く可能性は低くなります。一度の神経ブロック注射で痛みが緩和する場合もあれば、何度も注射を繰り返すことで痛みが緩和していく場合もあります。神経根パルス高周波法という治療方法もあります。
帯状疱疹の予防について
帯状疱疹の予防には、日々の体調管理が大切です。バランスの良い食事と十分な睡眠をとり、適度な運動をし、リラックスする時間を持ってストレスを減らすことで免疫力の低下を防ぐように心がけましょう。高齢者では、神経痛が残りやすいため、発症を未然に防ぐことが特に重要となり、50歳以上の方は予防接種も可能で有効な手段の一つです。帯状疱疹ワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチン(組み換えワクチン)の2種類があります。生ワクチンは皮下接種で接種回数は1回、費用は7,000円~10,000円程度、効果は接種後1年時点で6割程度の予防効果、接種後5年時点で4割程度の予防効果があります。不活化ワクチン(組み換えワクチン)は、筋肉内接種で、接種回数は2回(通常2カ月の間隔をあける)、費用は2回接種で40,000~60,000程度、効果は接種後1年時点で9割以上の予防効果、接種後5年時点で9割程度の予防効果、接種後10年時点で7割程度の予防効果があります。予防接種の費用は自己負担になりますが、費用の助成を受けられる自治体もありますので、お住いの自治体のウェブサイト等で確認してください。