インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザを予防することや、発症後の重症化や死亡を防ぐことに関しては、一定の効果があるとされています。インフルエンザワクチンは毎年流行する型を予想して作られるので、その年によって効果は変動します。そのため、毎年接種する必要があります。
今回はインフルエンザの予防と、新しく発売されたワクチンについてお話します。
インフルエンザについて
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。普通の風邪はのどの痛み、鼻水、咳などの症状が中心ですが、インフルエンザは風邪症状に加えて、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどの全身症状が現れるのが特徴です。
流行しやすい年齢層は、ウイルスの型によって多少異なりますが、全ての年齢の方が注意する必要があります。
インフルエンザの予防について
インフルエンザを予防する方法として、手洗い、マスクの着用が効果的です。また、インフルエンザワクチンも発症を抑えたり、発症した場合に重症化を抑える効果があります。
主な予防については①~⑥を参考にしてください。
- 流行前のワクチン接種
- 外出後の手洗い
- 適度な湿度の保持
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人込みや繁華街への外出を控える
- 室内ではこまめに換気をする
インフルエンザワクチンについて
2024年10月に新しく点鼻ワクチンが発売されました。従来のワクチン(注射ワクチン)と点鼻ワクチンの違いは以下のようなものがあります。
- 接種方法
- 一番の違いは接種方法が異なることです。これまでインフルエンザワクチンには注射しかありませんでしたが、点鼻ワクチンは日本初となる鼻にスプレーするタイプです。針を刺すことがなく痛みがないので、注射を嫌がるお子様にも使いやすいワクチンです。
- ワクチンの種類
- 注射ワクチンは不活化ワクチン(ウイルスや細菌の感染する能力を失わせたもの)であり、接種によりインフルエンザにかかることはありませんが、免疫も付きにくいので、効果の持続は短めです。そのため、13歳未満のお子様には2回の接種が推奨されています。
点鼻ワクチンは生ワクチン(ウイルスや細菌の毒性を弱めたもの)であり、弱めているとはいえ、ウイルスそのものですので、免疫力が低下している場合はインフルエンザにかかる可能性があります。しかし、不活化ワクチンよりも得られる免疫が強いため、1回接種が基本です。 - 接種可能年齢
- 注射ワクチンは生後6ヶ月後から接種可能ですが、点鼻ワクチンは2歳~18歳となっています。そのため、19歳以上の方は今まで通り、注射でのワクチン接種となります。
まとめ
毎年流行するインフルエンザですが、感染力が強く、高熱や全身症状が現れるので注意が必要です。重症化すると肺炎や脳症を発症することもあります。
しっかり予防するとともに、重症化しないように事前のワクチン接種が大切です。注射ではなく、点鼻による接種が可能となったので、今までに比べ、予防接種を受けやすくなったのではないでしょうか。ただ、重度の喘息の方やゼラチンに対するアレルギーがある方など、接種が難しい場合もありますので、かかりつけの医療機関に相談してから受けるようにしてください。