寒い季節こそ脱水に注意!
脱水と聞くと夏に起こるイメージがありますが、実は、冬も日常的に脱水のリスクがあります。
1.なぜ、冬の脱水に注意しなければならないのでしょうか?
冬は、夏に比べて空気が乾燥し湿度も下がるため体から水分が奪われやすくなるのに加え、夏に比べて汗をかく機会が少ないのでのどが渇きにくく、飲料摂取の機会が少なくなること、また、冬に流行する様々な感染症による下痢や嘔吐により、脱水もしくは脱水を自覚できていないかくれ脱水になりやすいと言われています。
2.脱水とは?かくれ脱水とは?
①脱水とは、体液(水分とナトリウムやカリウムなどの電解質)が減少した状態です。
この体液は、
- 体温調節:皮膚への血液の循環を増やし、汗を出して体温を一定に保ちます。
- 運搬:酸素や栄養分を身体中に運び、老廃物は体外へ出します。
- 環境維持:新陳代謝がスムーズに行われるよう、体液の性状を一定に保ちます。
といった役割を果たしています。
体液の割合は、加齢とともに減少しますが、成人で体重の60%、新生児で80%、高齢者で50%を占めているのです。
②かくれ脱水とは、脱水になりかけているのに、本人や周囲がそれに気がつかないため、有効な対策がとれていない状態です。
3.脱水の具体的な症状
体液が不足して脱水になると、のどの渇き、口の中の乾燥、倦怠感、頭痛、食欲不振、おう吐、めまいなどの症状が現れることがあります。しかし、脱水に伴う症状がないという方も少なくありません。
4.冬の脱水で自覚できるサイン
分かりやすく自覚できる冬の脱水のサインとして、カサ、ネバ、ダル、フラと省略され表現される主なサインを覚えておきましょう。
- ①カサ
- 皮膚がカサカサしている
- ②ネバ
- だ液が減って口の中がネバネバとネバつく
- ③ダル
- ダルさを感じる
- ④フラ
- 体がフラフラする
5.脱水を予防するには?
①加湿器などで乾燥対策
湿度を上げることで、皮膚などから蒸発する水分を減らすことができます。加湿器の使用や加湿器がなければ濡れたタオルを干しましょう。室内の湿度を50~60%前後に保つことが病気の予防にもつながります。
②脱ぎ着しやすい服装で体温調節する
防寒のため、暖かい服装で過ごすのはよいことですが、暖房などで体が温まっているのに厚着のままでいると、汗をかくので、体の水分が奪われます。さらに、体を冷やす原因にもなるので、服装の工夫をしましょう。
③こまめに水分摂取をする
人は食事以外で1日1.2リットルの水分を摂取する必要があると言われています。のどの渇きを感じる前に意識してこまめに水分を摂ることが重要です。
特に早朝と食間に乾燥からの脱水が起こりやすいと言われているので、1日8回(※)程度コップ1杯分の水分補給をするよう心がけましょう。
ただし、アルコール、カフェインを多く含む飲み物、糖質の多い飲み物は、利尿作用を促したり、血糖値が上昇し健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、避けた方がよいでしょう。
※起床時、朝食時、10時頃、昼食時、15時頃、夕食時、入浴前後、就寝時
④運動する
筋肉には水分を蓄える力があります。筋肉量は多い方が脱水になりにくいため、運動やトレーニングにより筋肉量を増やしていくのも有効です。
⑤経口補水液を準備しておく
脱水になった時のために、経口補水液を準備しておくとよいでしょう。
経口補水液とは、塩分(電解質)と糖分と水で構成されています。これらを素早く吸収できるように、バランスよく配合された飲み物で、失われた水分や電解質を補うことができます。
感染症などによる過度の発汗をした際や下痢・嘔吐があって塩分を含んだ水分補給が必要な際には、経口補水液が適しています。
経口補水液を用いる際は一度に飲むのではなく、少量ずつゆっくりと飲むのがポイントです。特に、吐き気があるときは少量で試し、飲めるようであれば回数を増やして失った水分を補給していくようにしましょう。
冬だからといって油断することなく、こまめに水分補給を心がけていきましょう。