転ばない暮らし方 -2021年8月31日掲載-

年齢を重ねても健やかで実りある日々を送りたいと願う方は多いと思います。心身ともに自立した生活を送ることが大切ですが、年齢とともに、日常生活の中で転倒する危険性が高くなり、大怪我につながることもあります。転倒・骨折を予防して、ご自分と大切な方の「転ばない暮らし方」をはじめましょう。

65歳以上の方のケガの約8割は転倒が原因です。

東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活の事故」によると日常生活における高齢者のケガの原因は、1位が「転ぶ」であり約8割を占めています。続いて、2位「落ちる」、3位「ぶつかる」となっています。

転びやすさをチェック

  1. 過去1年間に転んだことがある
    過去1年間に転んだ経験のある人は、その後の1年間に再び転ぶリスクが高まると言われています。いつ、どこで、なぜ転んだのかを振り返りましょう。
  2. 歩く速度が遅くなった
    歩く速度が遅くなるのは、加齢や活動量の低下により、足腰が弱くなったためと考えられます。歩く、またぐ、昇って降りるなどの動作をしっかり意識しましょう。
  3. 杖を使っている
    杖の使用は、バランスをとる力や足腰の筋力低下のためと考えられます。バランスをとる力が低下すると転倒しやすくなりますので、弱った脚の反対側に杖をつきましょう。
  4. 背中が丸くなってきた
    骨粗しょう症の症状の一つとして「背中が丸くなる」があります。骨粗しょう症の患者様は骨折しやすい状態になっているため、転倒による骨折で寝たきりを招く危険性があります。最近身長が縮んだ、など気になることがあれば医療機関に相談しましょう。

転ばないための住まいづくり

高齢者の転倒の多くは、家の中で起こっています。家の中で転ばないために、日ごろから整理や工夫を心掛けましょう。「ぬれているところは滑りやすい」「階段・段差はつまずきやすい」「片づけていないところは引っかかったりつまずきやすい」ということに注意することが大切です。転ばない暮らし方

  1. 床の上の小物
    床の上の小物につまずいて転んでしまったり、よけようとしてバランスを崩して転んでしまったりすることがあります。新聞・広告のチラシやリモコンなど、床の上にはなるべく物を置かないようにしましょう。
  2. 家具や小物・ペット
    部屋の小物をよけようとしてバランスを崩したり、つまずいて転んでしまうことがあります。部屋の中の家具や小物は整理しましょう。ペットがじゃれついてきたのを避けようとして転ぶこともあります。ペットの動きにも注意が必要です。
  3. 敷物
    じゅうたんやマットの端に足が引っかかって転ぶケースがあります。裏面に両面テープを貼り、たるみがないように固定しましょう。裏地が滑り止め加工のものと交換してもいいでしょう。
  4. コード類
    歩く時に邪魔にならないように、できるだけ隅か壁に固定しておきましょう。
  5. 照明
    足元が見えやすいように照明器具を整えましょう。夜間にトイレに起きた時のための照明は手が届きやすい場所に置く、スイッチがすぐに分かるように夜光テープを使用するなど工夫しましょう。
  6. 収納
    しゃがんだり台に乗ったりすると、バランスを崩しやすくなります。よく使うものは、楽な姿勢で出し入れができる位置にしまうようにしましょう。
  7. 履物
    家の中ではなるべく裸足か鼻緒のある履物で歩くようにしましょう。寒いときは滑り止め付きのルームシューズを選ぶといいでしょう。とくに、ストッキングや薄手の靴下は滑りやすいので、帰宅後すぐに脱ぐ習慣をつけましょう。
  8. 手すり
    階段やトイレは可能な限り両側に手すりをつけましょう。トイレでは立ち座りに便利なL型の手すりが適しています。
  9. 滑りやすい場所
    滑りやすい場所は転びやすくなります。市販の滑りにくいマットなどを利用して、転ばない工夫をしましょう。

転ばないためのすまいづくりは、一度だけでなく定期的なチェックが大切です。転びにくい生活環境を整え、日ごろからよくからだを動かし、無理なく楽しい自分に合った運動を続けましょう。