ヒートショックについて -2021年2月26日掲載-

ヒートショックという言葉を知っていますか?

ヒートショックとは気温の低い屋外から暖かい屋内への移動や、暖かい部屋から寒い部屋への移動などによる急激な温度の変化によって、血圧が上下に大きく変動することをきっかけとして起こる、健康被害の総称です。
ヒートショックは特に冬季の入浴時に起こりやすいことが知られています。暖房をしていない脱衣場や浴室では室温が極端に低くなりがちで、こうしたなかで衣服を脱ぐと、急速に体表面から体温が奪われて血管が収縮し、血圧が急激に上がります。温かい湯船に入ると、今度は血管が拡張して、血圧が急激に下がります。このような入浴に伴う温度差が血圧を大きく上下させるために、失神や心筋梗塞、脳梗塞が起こったり、その結果として湯船で溺れ、命を落としてしまうこともあるのです。

ヒートショックを予防するポイントは?

ヒートショックについて

1.脱衣所や浴室を温める。
脱衣所に小型のヒーターを設置するなどして他の部屋との温度差を少なくしましょう。また、浴室にお湯や温水シャワーをまいて温度と湿度をあげると効果的です。
2.お湯の温度は高くしすぎない。
冬場でも熱いお湯は避けて41度以下での入浴が推奨されています。手足などにかけ湯をして徐々に体を温めてから入浴しましょう。また、長時間の入浴も避け、入浴後は急に立ち上がらないようにしましょう。
3.飲酒後の入浴は控える。
お酒を飲むと全身の血管が広がります。その状態で入浴して体が温まると、更に血管が広がり血圧が下がりやすくなり危険が大きくなります。食事でも同じような影響があるため、直後の入浴は控えた方がいいでしょう。また酔った状態では転倒の危険もあるので入浴を避ける方が望ましいです。
4.入浴前は家族に声掛けをする。
高齢者や持病のある方は特に、入浴前には家族に一声かけてから入浴しましょう。家族の方はいつもより入浴時間が長かったり静かな状態が続いているようなら入浴者に声をかけるなど様子をみましょう。

脱水症状を起こすと心臓に負担もかかりやすくなります。入浴後は水分補給もしておきましょう。

お風呂場以外は大丈夫?

お風呂以外でも温度変化が起きやすい環境では注意が必要です。
トイレにはエアコンがないことから冬場は冷え切っていることも多く、用を足す際には衣類を脱ぐことになるので体が温度変化の影響を受けやすくなるので注意が必要でしょう。

また夏場も注意が必要です。近年猛暑日を超える日も多くなり、40度近い屋外から冷房の効いた室内に入ると、それだけで10度以上の温度差が生まれています。室内の温度設定を低くしすぎないようにして気を付けましょう。

あてはまる方は注意!

一般的には、高血圧・心臓病・不整脈などの血管の病気のある方、糖尿病や動脈硬化などの基礎疾患のある方はヒートショックを受けやすいと言われています。
また、年齢を重ねるにつれて温度変化を感じにくくなったり、血管の柔軟性が失われたりします。これらもヒートショックが起きる原因になるので注意が必要です。