薬とグレープフルーツジュース -2020年3月31日掲載-

薬局でお薬をもらった時に「このお薬を服用中はグレープフルーツジュースを摂らないようにして下さいね。」と言われたことはありませんか。
お薬の中には食物との飲み合わせに注意しないといけないものもありますが、今回はなぜグレープフルーツジュースを摂ってはいけないのか、またグレープフルーツジュース以外の柑橘類や他の果物の摂取についてお話していきたいと思います。

飲み合わせについて

まず、グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせがよくない理由について解説します。
一般的に、お薬は体内に入ると“代謝酵素”で分解されて、しだいに効き目を失っていきます。
その代謝酵素の働きを邪魔する成分である「フラノクマリン類」が、グレープフルーツジュースには含まれています。
フラノクマリン類が体内の代謝酵素の働きを邪魔すると、薬が分解されにくくなり、薬が通常よりも多く吸収されてしまいます。
そのため薬の効き目が強く出てしまったり、副作用が現れる可能性が高くなります。
さらにこの作用はグレープフルーツジュースを飲んだ時だけではなく、薬によっては2~3日続く場合もあるといわれていますので注意が必要です。

ほとんどの柑橘類において、フラノクマリン類は果肉よりも果皮に多く含まれていて、果肉の数十倍から数千倍と言われています。
一般的に柑橘類のジュースは果肉と内皮の加工品であるため、ジュースにはフラノクマリン類が多く含まれている可能性があります。
そのため、一部の薬はグレープフルーツジュースと一緒に飲むことに注意が必要とされているのです。
なお、グレープフルーツの果肉の部分にもフラノクマリン類は含まれているため、ジュースだけではなく果肉を食べる場合にも注意が必要といわれています。
また、柑橘類の果皮を砂糖漬けなどにして直接食べる場合やマーマレードのように加工して食べる場合も気を付けなければいけません。

影響のある柑橘類、果物について

次に気を付けなければいけない柑橘類、果物を紹介します。

  1. 柑橘類で注意の必要なものは
    • グレープフルーツ
    • ザボン
    • ハッサク
    • ブンタン
    • ダイダイ
    • スウィーティー(オロブロンコ)
    • メロゴールド
    • バンペイユ
    • レッドポメロ

    等が挙げられます。

  2. 逆に食べても影響の少ないものは
    • オレンジ
    • 温州みかん
    • マンダリン
    • いよかん
    • デコポン
    • ユズ
    • スダチ
    • レモン
    • キンカン

    等です。(果物自体、産地などで含有量が異なりますのでご参考まで。)
    柑橘類以外の果物で注意の必要な果物として

    • スターフルーツ
    • ザクロ

    が挙げられます。
    この2つはグレープフルーツと同程度、薬に影響を及ぼすため注意してください。

飲み合わせのよくない薬について

最後に、グレープフルーツジュースなどと飲み合わせのよくない薬を紹介します。
薬とグレープフルーツジュース
代表的なものとして

  • 降圧薬(ニソルジピン、フェロジピンなど)
  • 高コレステロール薬(アトルバスタチンなど)
  • 催眠鎮静薬(トリアゾラムなど)
  • 免疫抑制薬(シクロスポリンなど)
  • 抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)

等が挙げられます。
もし、お手持ちのお薬が該当するか分からなければ薬局でお答えしますので、お気軽にご質問ください。