手足口病に要注意 -2019年7月31日掲載-

風邪をひくのは寒い冬の時期というイメージがありますが、暑い夏でも流行する“夏風邪”もあります。そんな夏風邪の中で“三大夏風邪”として有名なものが、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」です。今回は、今夏大きな流行がみられている「手足口病」について、その特徴や対処法などをお話しします。

手足口病とは

病名の通り、手や足、口の中などに水泡性の発疹ができる病気であり、ウイルスの感染によって起こる感染症です。ほとんどが夏に発生し、4歳くらいまでの幼児の間で流行します。

原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスA16、A10、A6やエンテロウイルス71など複数あります。そのため、一度手足口病にかかって免疫ができたとしても、別のウイルスから再び発症する可能性があるので注意が必要です。

大人の発症は少ないですが、これは子供の頃すでにウイルス感染を受けていて、たとえ発症した経験がなくとも免疫を持っているためです。

症状について

手足口病に要注意

感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の甲や裏に水泡ができます。この他にお尻、ひじ、ひざなどにできることもあります。
熱は出ないことも多く、出ても38度以下の微熱にとどまることがほとんどです。通常は3~7日程度で症状はおさまります。水疱の痕がかさぶたになることもありません。

このように、基本的には軽い症状で済むため、それほど心配はいりません。しかし、稀に髄膜炎、脳炎といった合併症を起こす場合もあるので注意は必要です。

予防対策

今のところ、手足口病に有効なワクチンはありません。
感染者の咳・くしゃみ、鼻水、唾液、水疱液、糞便などから、ウイルスは感染を広げます。
そのため、基本的な予防方法はしっかり手洗い・うがいをすることです。とくに流行時はこまめに行うよう心がけましょう。タオルの共用もやめましょう。

また、お子さんがかかってしまったときは、オムツ替えやトイレ後の手洗いをいつもより念入りにしましょう。治った後も、ウイルスは数週間以上にわたって便の中に出ているので油断できません。

治療方法

残念ながら、手足口病の原因ウイルスに有効な抗ウイルス薬はありません。症状をおさえる対症療法のみになります。痛みをおさえるなど、症状を和らげる治療をしながら、体に備わっている免疫がウイルスをやっつけるのを待つことになります。

夏場はとくに脱水が怖いので、水分の補給が何より大切です。経口補水液などで水分を少しずつこまめにあげてください。
口の痛みで食事が摂りにくければ、柔らかい薄味の食べ物や冷ましたお粥、ヨーグルト、ゼリー、プリンなど食べやすいものがおすすめです。

基本的には軽い症状の病気ですが、頭痛や嘔吐、高熱が出る、発熱が2日以上続くといった場合には、合併症や重症化を起こしている恐れがあるので、もう一度医療機関を受診しましょう。

登園・登校はいつからできる?

手足口病は回復後も長くウイルスを出すので、その間ずっと休ませるのは現実的ではないとされていることから、出席停止の期間までは定められていません。
したがって、熱がなく、食事が普通に摂れているなど、状態が安定してさえいれば、登園・登校可能です。ただし、手洗い(とくに排便後)はしっかりと継続しましょう。