「部屋の片づけで重たい荷物を運んでいたら、腰を痛めちゃった。シップ貼らなきゃ。」
皆さんの身近なお薬の1つであろう、湿布。腰痛のほか、肩こりやねんざをしたときにも、手元に湿布があったらすぐに使える。その手軽さから重宝されます。
一方で、湿布の使っているところがかゆくなった、発疹ができた、赤くなった等といった、肌のトラブルが発生することがまれにあります。
今回は、湿布と湿布かぶれの対処について紹介し、より良い使い方を考えていきたいと思います。
湿布の種類
湿布は布やプラスチックフィルムに、有効成分と基剤(有効成分を貼付剤として取り扱いやすくするために加える成分)の混合物を薄く延ばして形作った製剤です。貼付部である皮膚表面から患部に有効成分を到達させます。その湿布は「パップ剤」と「プラスター剤」に大別されます。
パップ剤
湿布ときいて、まず思いつく剤形です。基剤には水を含んでいるので、若干の厚みがあり、肌に貼った瞬間にヒヤッとします。
プラスター剤
プラスター剤はパップ剤と違って水分を含んでいません。テープ状につくられているタイプの湿布で、脂溶性(水に溶けにくく油に溶けやすい性質)のためはがれにくく、しっかりとくっつきます。また、パップ剤よりも比較的薄くつくられています。
温感タイプと冷感タイプ
パップ剤の中には温感タイプと冷感タイプがあります。
温感タイプ
温かく感じる成分(カプサイシン)が含まれています。血流改善作用により打撲、ねんざ、筋肉痛などで、熱や腫れがひいた後の慢性期に対して効果的です。
冷感タイプ
冷たく感じる成分(メントール)が含まれています。打撲、ねんざ、関節炎などで、熱や腫れなど炎症を伴った急性期に対して有効です。
湿布かぶれの原因
皮膚が刺激過敏の状態であること
皮膚のバリア機能が弱まっている人は、湿布を貼ることで汗や蒸れによってかぶれやすくなります。また、水分を多く含んでいるパップ剤は、汗だけでなく湿布自体の水分でも肌が荒れてしまうこともあります。アレルギー性皮膚炎のほか、乾燥肌も含め、使用患部に何かしらの皮膚症状を持っている人は特に注意が必要です。
薬効成分や基剤が原因であること
湿布の接着面には薬効成分のほか、患部の温度感に影響を与える成分、粘着成分が含まれています。これらの成分により肌が荒れてしまい、かぶれてしまうことがあります。他の湿布では問題にならないのに、一部の湿布ではかぶれてしまうなどの場合は、そのかぶれが生じた湿布に含まれている成分に原因があると考えられます。
長時間の使用によるもの
長時間湿布を使用することで、上記の問題が発生しやすくなることがあります。
かぶれたときの対処法
湿布をはがし、原因物質を取り除く
まずは原因となる物質を取り除くのが一番の方法です。湿布薬でかぶれたのであれば、すぐにはがしてしまいましょう。その後に患部を清潔に保ちます。
かぶれた部位に刺激を与えない、冷却する
かぶれた患部がかゆみで気になっていても、更なる刺激を生じさせないよう、引っかかないように気をつけましょう。発赤や発熱を帯びていたら、保冷剤をタオル等で包んだもので患部を冷やすとよいでしょう。
薬物療法
かぶれた皮膚に対しての薬物治療として、まずはその炎症を抑えるために抗ヒスタミン薬やステロイド薬が処方されます。赤みや腫れ、かゆみを抑える効果が期待できます。
湿布かぶれの予防方法
- 湿布を貼る患部は清潔にしておく
- 患部に傷がある場合は貼らない
- 自分にあった成分のものを貼る
→自分と相性の悪い湿布があれば、「お薬手帳」に記録をしておくと便利です - 汗をかいたら貼りかえる
- 同じ場所に繰り返し長期間貼らない
- 実際に使用する前に、パッチテストの要領で1cm角くらいに切った湿布を腕の内側などに貼り、状態を観察してみる
正しい湿布薬の選択と貼り方を理解し、有用な湿布薬を安全に使っていきましょう。