腎臓の働きについて -2016年3月31日掲載-

皆さんは腎臓が体の中でどんな働きをしているか知っていますか?
今回は、腎臓の働きについて簡単に解説します。

構造と役割

腎臓は毛細血管のかたまりである糸球体と尿細管という部分からできており、この2つを合わせてネフロンといいます。ネフロンは1つの腎臓に100万個、左右合わせて200万個あります。腎臓には毎分約1Lの血液が流れ込み、血液から運ばれてきた老廃物をろ過して尿を作り体外に排出するとともに、体内に回ってきた必要な物質を再吸収します。

主な働きは?

腎臓の働きについて

血液をきれいに保つ
血液の老廃物を除去し、体外へ尿として排泄する
水分やイオンバランスの調整
体内の水分量や、ナトリウム・カルシウム・カリウム・リンなどのイオンバランスを調整する
造血ホルモンの分泌
赤血球をつくるためのホルモン(エリスロポエチン)を分泌する
血圧の調整
レニンという血圧を上昇させるホルモンを産生し、血圧を調整する
ビタミンDの活性化
食事に含まれるビタミンDはこれだけでは作用しないため、活性型に変化させ、それにより骨のカルシウムの吸収を促進して骨を丈夫に保つ

腎臓は上記のようにさまざまな働きをしています。その機能をみるための指標の一つにクレアチニンという物質があります。

腎機能の指標にはどんなものがあるの?

クレアチニン

(基準値:0.6~1.1mg/dL(男性)、0.4~0.8mg/DL(女性))

クレアチニンとは筋肉運動のエネルギー源となるアミノ酸の一種が代謝されてできた物質、いわばタンパクの残りかす(老廃物)です。クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿中に排泄されます。つまり、腎機能が低下していたり障害があったりすると、クレアチニンが尿中に排泄されないで血液中にたくさんあるということになります。クレアチニンは筋肉量に比例するので一般に女性より、男性の方が10~20%高値になります。また、クレアチニンから導き出すことができるのがクレアチニン・クリアランスです。

クレアチニン・クリアランス

(基準値:90~110mL)

クレアチニン・クリアランスは、血液中と尿中のクレアチニン量を測定して比較し、腎臓の糸球体が老廃物などを取り除く力がどのくらいあるのかをチェックすることで腎機能を調べる指標です。
つまり、

腎機能低下 = 血液中クレアチニン上昇↑ = クレアチニン・クリアランス低下↓

となるわけです。

腎臓の働きが悪くなると……

  • 尿が出にくくなる
  • イオンバランスが崩れ、カリウムやリンが上昇する
  • 水分が溜まる、むくみが出てくる
  • 赤血球をつくるホルモンが低下し、貧血になる
  • 血圧が上昇する
  • カルシウムが不足し、骨がもろくなる

腎臓の働きが低下してしまった場合に使用される薬剤

目的 薬剤の種類
老廃物の排泄 経口吸着炭素剤
体液量・イオンバランスの調節 カリウム吸着剤、リン吸着剤
血液をつくる エリスロポエチン製剤
血圧調節 降圧薬、利尿剤
強い骨をつくる 活性型ビタミンD製剤

腎臓の働きによい食べ物は?

腎臓は食べ物の影響を受けやすく、食生活の乱れが原因で働きが低下することもあるため、注意が必要です。タンパク質や塩分を控え、エネルギーを十分にとることが大切です。

魚介類・海藻類
昆布、カツオ、イワシ、ブリ、シジミ
肉類
豚肉・鶏肉
豆類
大豆・黒豆・あずき

このように普段から、常に働いてくれている腎臓に負担をかけないように栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの少ない日常生活を心掛けましょう。