食事中や食後に、口の周りにぶつぶつができたり、口内の違和感を覚えたり、蕁麻疹がでた、といった経験はありませんか?
特に、お子さまの離乳食時期に初めて与えた食べ物だったり、知らないうちにお子さまが口にしてしまった食べ物だったりすると、とても不安ですよね。それらは食物アレルギーといい、食べ物が原因で起きる過剰な免疫反応です。卵・牛乳・小麦が3大アレルゲンと言われています。そして、アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性のアレルギー症状が出る反応のことを言います。時には命にかかわる症状を引き起こすこともあります。
アナフィラキシーの原因って?
食べ物以外に薬物や蜂毒もアレルゲンになります。薬物や蜂毒は直接体内に入るため、症状の発現が速く、5分~15分で心機能が停止してしまう場合もあります。食べ物は消化・吸収されるまでに時間がかかりますが、アレルゲンや患者さんによって差があり、症状発現まで数分および数時間かかるときもあります。
原因となるもの(アレルゲン)
- 食べ物:鶏卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、大豆、甲殻類、果物等(特に乳幼児・学童期に多い)
- 蜂毒:スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ(夏場がピークで、40歳以上の男性に多い)
- ラテックス(天然ゴム):医療用手袋、カテーテル、風船、ゴム靴等(バナナ、アボカドなどの果物アレルギーの人が多い)
- 運動:まれに運動中、もしくは運動直後にアナフィラキシーを起こす運動誘発性アナフィラキシー(中止により症状がおさまる)
- その他:クラゲによる刺傷、ハムスター・ダニ・アリなどによる咬傷
- 薬物:抗生物質、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬、造影剤、ホルモン剤など
アナフィラキシーの症状は?
アレルギーで起こる症状には下記のようなものがあります。
- 皮膚症状:かゆみ、蕁麻疹、赤み、湿疹
- 呼吸器症状:くしゃみ、咳、呼吸困難、ゼーゼー、ヒューヒュー
- 粘膜症状:口の中のイガイガ、唇やまぶたの腫れ、喉の粘膜腫脹による気道狭窄・声が出ない、喉の痒み、鼻閉(鼻づまり)
- 消化器症状:腹痛、吐き気、嘔吐、下痢
- 全身性症状:血圧低下、ぐったり、意識障害、頻脈
アレルゲンと疑われるものに触れる、あるいは食べたり飲んだりした数分~数時間後に、このような症状が2つ以上突然現れた場合は、アナフィラキシーの可能性が高く、早急に適切な処置が必要です。
アナフィラキシー対策は?
アレルゲンを知ることと、備えることです。
病院でアレルゲンをきちんと診断してもらいましょう。血液検査、皮膚テスト、食物除去試験、食物経口負荷試験などがあります。アレルゲンの特定や耐性獲得の判断が可能ですが、試験によってアレルギーが起こるリスクもあるため、専門の医療機関で行いましょう。アレルゲンがはっきりしたら、原因となる食物を食べない「食物除去」を行います。ただし、栄養不足で健康や成長に影響が出ないよう、医師としっかり相談しましょう。加工食品にはアレルゲンになる可能性が高い特定原材料(卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生)の表示が義務付けられています。
また、もしものときのために、誤食時用に処方された抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬、副腎皮質ステロイド薬を携帯し、対処しましょう。医師が必要と判断すればアドレナリン自己注射薬(エピペン)も処方されます。処方されたらカバンに入れて持ち歩く、保健室に置いておくなど常に患者さん本人の身の回りにある状態にし、特定の人だけではなく教職員全員やクラスメイトなど周囲の人たちに認識してもらうことが重要です。エピペンはペンタイプの薬で1回のみ使用できるようになっています。注射をする可能性のある人たちは、いざというときに備えて練習具で普段から練習しておくのがよいでしょう。正しい知識と判断で大切な人を守り、共に健やかに過ごしたいですね。