薬剤師による在宅訪問について -2014年6月30日掲載-

在宅訪問サービスとは

薬剤師の在宅訪問サービスというと、あまりイメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。お薬を持ってきてくれるだけ、というイメージを持っている人も中にはおられると思います。現在、薬局薬剤師の取り組みの一つとして、在宅業務の推進が挙げられています。ご自身の住まいで療養されている患者さまのお薬の管理を薬剤師がサポートする業務のことで、お一人での自立した通院が困難な方を対象にした在宅訪問サービスです。


わが国では今後、高齢化がさらに進み、お住まいで療養をされる患者さまが多くなってきます。また、老老介護というご家庭もこれからは多くなり、患者さまをお世話する方も高齢のために、しっかりとした服薬管理が行えないことも多々生じてくると思われます。高齢者がご自宅でお薬を管理するにあたっての問題点は、お薬をのんでくれない、のみ込みにくい、のむのに時間がかかる等の服薬の行為に関すること、お薬をのみ忘れる、のんだかどうかわからない等の服薬の認識に関すること、そして市販薬や健康食品、サプリメント等とののみ合わせについてのお薬の併用に関すること、などが挙げられます。これらを解消すべく、薬剤師がご自宅に訪問し生活環境を把握した上で、お薬の管理方法の提案や仕組みづくり、服薬状況や残薬状況の確認を行います。また必要に応じて体調の変化などをお伺いして、お薬の効果の確認や副作用の兆候の有無をチェックして、患者さまの住まいでの療養をサポートします。訪問サービスにより得られた情報は、必要に応じて医師やケアマネジャーさん等に報告し、情報の共有化を行い、より一層患者さまのケアに役立てます。

サービスの内容

薬剤師の在宅訪問によるサポート例を挙げますと、お薬の管理方法としては、薬カレンダーの設置があります。定期的に訪問して服薬状況を確認した上で薬カレンダーにお薬をセットします。お薬をのみ込みにくい等の問題があれば、飲食物がお薬の作用に影響がしないかチェックした上で、ヨーグルトやゼリーにお薬をのせてのみこむ方法を提案したり、錠剤のお薬を粉砕しても効果が変わらない場合においては、粉砕してお薬をお渡ししたりすることもあります。手の指先が不自由でお薬の袋の開封が困難ということであれば、開封しやすいよう予め切れ目を入れたりします。副作用がこわいからお薬をのもうとしない、という服薬意識の問題なら、病気に対するお薬の役割とお薬の持っている副作用に関して十分な説明をさせていただき、納得してお薬をのんでいただけるよう努め、定期的に訪問してお話をお伺いして副作用の兆候が出ていないかの確認も行います。

サービスの利用方法

この在宅サービスは長期的にサービスを受け続けなければいけないものではなく、短期的に利用することもできます。服薬管理がうまくいって今後は問題がなさそうだ、病気のため一時的に低下した機能が回復すれば管理は不要になる等、一時的なサービスだけで済むケースもありますので、その時々の患者さまやご家族の状況やご要望にあわせて柔軟に対応します。

薬剤師の在宅訪問サービスを受けるにあたっては、医療保険、介護保険制度を利用することができます。(介護保険の利用限度額には含まれません。)また、サービスを受けるには医師の指示が必要となりますが、薬剤師から医師へ指示を要請することもできますので、サービスのご利用をお考えの方は一度かかりつけの薬局にご相談なさってはいかかでしょうか。