閉塞性動脈硬化症(ASO)とはどんな病気?
閉塞性動脈硬化症(ASO)は、足の血管の動脈硬化が進み、血管が細くなったり、つまったりして、充分な血流が保てなくなる病気です。
そのため、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。治療しないでいると症状が進み、ついには足を切断しなければならないこともあります。
ASOになっている人は、心臓病や脳血管障害を高い頻度で合併するため、生存年数が短くなると言われています。したがってASOは早期からきちんと治療する必要があります。
ASOの主な症状
- 冷感・しびれ感
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- 足先を触ったら首や腕よりも冷たい。
- 足の血管(足の甲、足首、膝の裏など)の脈が弱い・ほとんどない。
- 手足がしびれる。
- 手足の指が青白い。
- 間歇性跛行(かんけつせいはこう)
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- 歩いていると途中でふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり歩けなくなる。
- 休むと痛みが取れて歩けるようになるが、しばらく歩くと再び痛み出す。
- 階段をのぼるときは特に辛い。
- 安静時疼痛
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- じっとしていても手足が痛み、夜も眠れない(そのときに足先を触ると冷たい)。
- 刺すような痛みが常に持続している。
- 潰瘍・壊死
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- 足先にできた傷が治りにくい。
- 壊死部は黒くなる。
ASOの危険因子
ASOの危険因子があり、症状があれば早めに医師に相談しましょう。
- 喫煙の習慣
- 高齢(70歳以上)
- 男性
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 高血圧
- 虚血性心疾患(心筋梗塞など)の既往
- 脳血管障害(脳梗塞など)の既往
ASOの診断
ASOの症状があり、次のような所見があった場合にASOと診断されます。
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- 視診
- あおむけの状態で足を上げたり、ベッドに腰掛けている状態で足をぶら下げたりして、足の色の変化で血液のめぐりを調べます。
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- 触診
- 実際に足に触れて、脈拍を調べることで、動脈硬化の有無を調べます。
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- 上腕・足関節血圧比(ABPI)の測定
- 足と腕の血圧の比をABPIといいます。ABPIを測定することで、足の血圧の流れを調べます。正常では、ABPIは1以上ですが、血液の流れが悪くなると、ABPIは低下します。ABPIが0.9以下の場合には、足に動脈硬化が起こっていると考えられます。
ASOの治療
ASOの治療は日常生活の改善と、軽症のうちは運動療法や薬物療法が中心となります。しかし、重症化すると手術が必要となる場合もあります。
- 日常生活の改善
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- 禁煙(タバコに含まれるニコチンと喫煙による一酸化炭素は、動脈硬化を引き起こしたり、動脈硬化を悪化させたりします。禁煙を必ず実行しましょう。)
- 食事は栄養バランスを考え、脂肪の多い食品を控えることや食べ過ぎに注意し、節酒を心掛けましょう。
- 脂質異常症、糖尿病、高血圧などの合併症がある場合には、その管理も必要です(医師の指示に従いましょう)。
- 運動療法
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- なるべく毎日、痛みが出ない程度に適度に歩くと血流障害が改善します。足が痛むときなどは医師に相談して下さい。
- 1回30分程度、1日2回、毎日歩くことが理想です。最低でも1日30分、週3回は歩くように心掛けましょう。
- 寒い日は屋外で行わず、室内で行いましょう。
- 薬物療法
- ASOの治療薬は血液をサラサラにしたり、血管をひろげたりすることによって血液の流れを改善する作用があります。最も多く使用されているお薬は抗血小板薬ですが、症状に合わせてお薬を使い分けたり、2種類以上を併用したりします。
- 足の手入れ(フットケア)
- 足の血液の流れが悪くなると、皮膚へ届く栄養が不十分になり、足の皮膚が弱くなります。足に傷がつきやすく、また傷が治りにくくなるので、足の状態をチェックするのとケアするのが大切になります。
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- 足に腫れや、色の変化がないかなど観察する。
- 手足の保温に気を付ける。
- 清潔に保ち、深爪などの外傷を避ける。
- はだしではなく、靴下をはきましょう。
- 1日の行動や自分のサイズにあった靴を選ぶ。