人は、個人差はありますが1日の約3割を眠って過ごしています。もし、眠らなければその時間も有効に活用できるのでは…と考えたことはないでしょうか。また、不眠でお悩みの方はいらっしゃいませんか?今回は睡眠についてのお話です。
脳の働きと睡眠
人間の脳は、物事を考えたり、運動したりするだけではなく、生命を維持するために必要な様々な働きを司る、非常に大切なものです。
仕事や家事ができるのも、楽しいと感じるのも、おなかがすくのもみんな脳の働きです。呼吸や消化吸収が無意識にできるのも脳が指令を出しているためです。私たちは脳の働き無しには生活していくことができないほど、脳は大切な働きを担っています。
このように、脳は瞬時にたくさんの情報を分析し、常に活動を続けています。体が疲れるように脳も疲労し、それを回復させるための休息が睡眠なのです。睡眠は身体の休息や修復にも必要ですが、脳を休息させるためにも必要なのです。一日の疲れをとり、たくさんの情報を整理する時間が必要なのです。
睡眠時間は何時間?
では、どれくらいの時間眠ればいいのでしょうか?
一般的に6~9時間の人が多いと言われていますが、ここでも3時間の差があるように、睡眠時間には個人差があります。長ければいいというものではなく、短時間の睡眠でも心身共に健康を保つことができる人もいます。朝の目覚めがよく、日常生活が無理なく快適に過ごすことができる、それが自分にあった睡眠時間です。
また、睡眠は、貯めることはできません。昨夜たくさん寝たから、今日は少なくてもよいとはいかないのです。睡眠は、自分にあった適切な長さで、毎日規則正しくとることが大切なのです。
睡眠の質
睡眠には適切な時間に加え、質が重要です。適度な睡眠時間を取ったにも関わらず、体も頭もすっきりしないという経験はありませんか?これは睡眠の質が悪いためかもしれません。
睡眠の質は、脳が休む深い睡眠をどれだけ長く取れるかということと、起きるタイミングで決まると言われています。深い眠りは、睡眠の前半に多く、このときに脳が最も休息します。そして、眠りの後半は深い眠りと浅い眠りを繰り返し、浅い眠りのタイミングで起きるとすっきりと目が覚めるそうですが、そのサイクルには個人差があり、おおよそ90分だそうです。
起きるタイミングを眠りのサイクルに合わせることは日常生活ではなかなか難しいことですが、脳がしっかりと休息できる深い眠りをとる方法は、たくさんあります。特に就寝前はリラックスした状態で過ごすことが良い眠りのポイントのようです。ちょっとしたことを心掛けるだけで、睡眠の質を改善できるかもしれません。できることから少しずつ試してみてはいかがでしょうか?
良い眠りのためには・・・
- 照明は明るすぎず、温かみのあるやわらかい光で
- 落ち着く音楽などを聴いてリラックス
- お風呂はぬるめの温度でゆっくりと
- 無理のないストレッチを
- 覚醒作用のあるカフェインを含んだものは夕飯までに
- パソコンやゲームなどは控える
- お酒はほどほどに
- 毎朝決まった時間に起きる
- 昼寝は午後3時より前に30分以内で
- 日中は適度な運動を心掛ける
眠れないときは・・・
色々試してみたけれど、眠れないという方は、かかりつけ医・専門医に相談してみましょう。自身で改善できないことや他の病気が不眠の原因になっている場合があります。眠れないということは、体も脳も休息できず非常に辛いことです。眠れないまま悩んでいると、またそれがストレスになり、不眠の悪循環を引き起こしてしまいます。
眠れないという症状で医師を受診したり、薬を使用したりすることは、よくないイメージがあるかもしれませんが、生活習慣や食生活を見直すだけでは改善できない場合は、医師による治療が必要なのです。不眠は一つの病気ですので、医師の診断のもと、適切に薬を服用し、治療することが不眠解消の近道です。
お薬手帳の活用
医師の診断によりお薬を服用する場合は、お薬手帳を活用しましょう。お薬手帳は医師や薬剤師だけが記入するものではありません。薬を飲んでどうだったか、どういった時に眠れなかったのか、気になることなどをメモしておくと治療に役立ちます。
眠るということは、私たちが生きていくうえで、不可欠なことです。良い睡眠を心掛け、充実した毎日を送りましょう。