マイコプラズマ肺炎が流行しています。2009年以前と比べ2010年ごろから感染者の数が非常に増えています。マイコプラズマ肺炎は、普通の肺炎とは効果のある抗菌薬が違うため注意が必要です。
一般的な肺炎との違い
一般的な肺炎の原因となる細菌に効果のある、ペニリシン系、セフェム系の抗菌薬が効かず、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗菌薬が使われます。
一般的な肺炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などですが、マイコプラズマ肺炎は肺炎マイコプラズマという菌が原因となります。飛沫感染や接触感染により感染するため学校や保育園、幼稚園などで流行することがあります。飛沫感染は咳やくしゃみとともに病原菌が飛ばされて感染、接触感染は皮膚や粘膜、またドアノブ、手すりなどに付着した病原体による感染のことを言います。
症状
以下の症状と、初期は痰の出ない咳、その後痰のからんだ咳も出ることがあります。
- 発熱
- だるさ
- 頭痛
- 寒気
- 息切れ
- 鼻炎症状
- 胸の痛み
治療法
マクロライド系と呼ばれる抗菌薬を飲みます。
マクロライド系の抗菌薬の粉薬には苦味があり、飲みやすくするために甘いコーティングがしてあるのですが、酸味のある飲み物(果物ジュースやスポーツドリンクなど)で飲むとコーティングが取れて非常に苦くなってしまうので注意が必要です。
大人でももう飲みたくなくなるほど苦くなりますので、お子さんに飲ませてあげる際は特に注意してください。また、痰の薬で酸味のものがありますので、混ぜて飲むと苦くなってしまいます。
面倒でも抗菌薬を飲んでそのあと痰の薬を飲むようにしましょう。薬局・病院でこのような指示をされた時は、必ずその指示に従って飲んでください。
飲み合わせに注意
最近、マクロライド系の抗菌薬が効かない耐性菌が出てきています。そのような場合、テトラサイクリン系の抗菌薬が処方されることもあります。
この薬も飲む際に注意が必要です。牛乳、制酸剤、鉄剤などといっしょに飲むと薬の効き目が悪くなってしまいます。抗菌薬をしっかり効かせるため、これらを飲む際は抗菌薬と2~4時間間隔を空ける必要があります。
また、ニューキノロン系の抗菌薬が使われることもあります。
この薬もテトラサイクリン系の抗菌薬と同様、牛乳、制酸剤、鉄剤などといっしょに飲むと薬の効き目が悪くなってしまうため、2時間は時間を空けてください。
抗菌薬は症状がよくなったからと言って、途中でやめてしまうと、体内に残っていた菌が再び増殖し悪化したり、また、抗菌薬が効きにくい耐性菌ができてしまったりすることがあります。症状がよくなっても医師・薬剤師の指示通り続けるようにしましょう。
この他に、症状を楽にするために解熱剤や、咳止め、痰を出しやすくする薬が処方されることもあります。
予防
感染しないようにするには手洗い、うがい、マスクが有効です。
病原体が口、目、鼻などの粘膜から体内に入り込むのを防ぎ、病原体が付着した部分を手で触れた場合は洗い流すことができます。