流行性角結膜炎 -2011年10月31日掲載-

流行性角結膜炎とは?

流行性角結膜炎(EKC:epidemic keratoconjunctivitis)とは、いわゆる「はやり目」のことで、アデノウイルスに感染することによって起こる結膜炎です。

アデノウイルスには、1型から51型まで51の血清型があり、血清型により気道炎や胃腸炎、結膜炎、膀胱炎、発疹などを起こすことがあります。また、アデノウイルスは、「かぜ症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられています。

流行性角結膜炎はアデノウイルス8、19、37、4型などによる眼感染症です。症状は充血、目やに、涙、まぶたの裏側のぶつぶつやまぶたの腫れなどです。症状がひどくなると、出血、耳の前のリンパ腺(耳前線)の腫れ、まぶたの急激な腫れ、しろめがブヨブヨしてくる(結膜浮腫)、発熱などが起こることもあります。新生児や乳幼児では偽膜性結膜炎を起こし、細菌の混合感染で角膜穿孔を起こすので注意する必要があります。

どのように感染するか。

潜伏期は8~14日で発病後約2週間は他の人に感染する可能性があります。

アデノウイルスは感染力が強く、家庭内や職場で涙や目やにで汚染された手指やタオルなどを介した接触によって容易に感染します。患者がウイルスに感染した眼を手でこすると、手に大量のウイルスが付着します。他の人がその手で触れた個所を触り、目や口に触れることでも感染してしまいます。学校ではプールを介して感染が広がることもあります。病院内では検査器具、点眼薬、医療従事者の手指を介して感染します。

治療法は?

アデノウイルスには有効な薬はありません。ウイルスの抗体ができるまで発症後1週間程度かかるため、その間は対症療法で抗炎症剤の点眼、さらに角膜に炎症がおよび混濁がみられるときは、ステロイド剤を点眼します。細菌の混合感染の可能性に対しては、抗菌剤の点眼を行います。

注意しなければならないこと


流行性角結膜炎にかかった場合は、症状がなくなってからも2週間はウイルスがでるため、他の人への二次感染が起きてしまいます。涙や目やにがついてしまった手は石鹸で洗い、水でしっかり流すようにしてください。手洗いはこまめに行ってください。タオルなど共通で使うものは家族と別にするか、ペーパータオルに切り替えるとよいでしょう。入浴も最後にして浴槽のお湯も毎回捨てるようにしてください。市販の70%アルコール液は消毒に効果があります。患者が触れたドアノブなどの皆が触るものには、ガーゼにアルコール液をひたして拭くと良いでしょう。目やにや涙を拭き取る場合は、ティッシュペーパーや清浄綿を使って除去し、目を直接手で触れないように気をつけましょう。

学校へは?

第三種学校感染症に指定されているので、専門の医師に伝染のおそれがないと認められるまで出席停止となります。このウイルスは糞便中に比較的長く(約1ヶ月)排泄されることがありますが、この場合の感染力は余り強くなく、手洗いなどの一般的な予防法を心掛ければ登校は可能である、とされています。