家庭でできるかぜ予防と治療 -2008年10月1日掲載-

かぜとは?

かぜは、呼吸器の急性炎症性の病気をまとめて呼んだもので、正確には「かぜ症候群」と呼ばれます。呼吸器の様々な箇所に感染するので、感染した場所により引き起こされる症状は以下のように変化します。

  • 鼻の粘膜でウイルス増殖→くしゃみ・鼻水・鼻づまり
  • のどの粘膜の炎症→のどの痛み
  • 下気道で感染→声がれ・呼吸困難
  • 気管・気管支・肺の炎症→せき・痰
  • ウイルスに対する全身反応→発熱・全身のだるい感じ・食欲不振

なぜ、かぜをひくのか?

かぜは、以下の4つの要素が相互に影響して起こります。

  • 寒さ・熱さなどの温度変化
  • ウイルス
  • 睡眠
  • 栄養

例えば、睡眠不足に寒さが重なり、ウイルスに感染して発症するといった具合。感染源の大半はウイルスですが、その他に一部、細菌、クラミジア、マイコプラズマという種類の微生物の感染が原因になる事があります。感染原因になるウイルスは種類と型が多数あり、一度かぜにかかって免疫ができても、繰り返し感染してしまいます。

かぜは、どうしてうつるのか?

かぜは飛沫感染や手、食器などから感染することがほとんどです。飛沫感染とは、病原体のウイルスが咳、くしゃみ、会話などで飛散して、直接鼻や口へ入り感染します。ウイルスが手や食器についた場合も口、鼻にウイルスがつき感染します。

かぜは、万病のもと

かぜにかかって抵抗力が落ちている状態だと、他の細菌やウイルスが感染しやすくなり、様々な合併症を引き起こす危険性が高まります。

代表的な合併症

  • 肺炎
  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎
  • 髄膜炎
  • 脳炎
  • 心筋炎

かぜにより病状悪化

  • 気管支喘息
  • 腎炎
  • 糖尿病

いつごろ流行するか?

かぜを引き起こす原因のウイルスの種類によって活動時期が異なるため、流行時期が変わってきます。

ライノウイルス

風邪の要因の約半数を占める、鼻風邪の原因ウイルスです。主に季節の変わり目の春と秋に流行します。

インフルエンザウイルス

高熱や全身の倦怠感等の症状を引き起こす怖いウイルスです。水が嫌いなので湿度が低い冬の時期に流行します。

コクサッキーウイルス・エンテロウイルス

ヘルパンギーナや手足口病等の要因となるウイルスです。水が好きなので湿度が高い夏の時期に流行します。いわゆる夏かぜです。

上記の他にも、アデノウイルス・RSウイルス・コロナウイルスなど多数のウイルスが感染要因として存在します。

予防と治療法

かぜ予防と治療

手洗い・うがい・マスク

ウイルスや菌は手についただけでは感染しません。鼻や口から感染する前に、しっかり手を洗って予防する事が重要です。また喉や口内に既にウイルス等が付着している場合を想定し、うがいでウイルスを洗い流して感染予防する事も重要です。外出先から帰宅した際は、こまめにうがい・手洗いを行いましょう。また、事前に鼻・口からのウイルス混入を防止する為にマスクも着けましょう。もし感染している場合は、周囲への飛沫感染防止にもなります。
マスクは綿のマスクを洗いながら何度も使用するよりも,使い捨てのマスクを使用したほうが機能の劣化も無く、衛生面でも優れています。

安静・保温・加湿

かぜの治療は、安静にして体の回復力を高めるのが基本。特に熱がある時は、できるだけ休養をとります。ひき始めは温かくして、入浴は控えて睡眠を十分にとります。室温は18~20℃。加湿器で乾燥を防ぎ、時々換気をすると良いです。夜明けの急激な気温の低下がせきを誘発するので、室温を保つ工夫が必要になります。

食事

かぜを引いたら、消化しやすくて水分が多く、温かい食品をとるのがおすすめです。

温かく、水分の多い食品

お茶・熱い紅茶・おかゆ・スープ・牛乳などが、おすすめです。発汗を促し、失われた水分を補給し、痰を切る効果があります。

ビタミンを補給

熱が高くほてる時には、冷たい果汁などを少しずつとるのも効果的。発熱で失われたビタミンを補給します。

食べたい時に、食べたいものを

かぜの時は、下痢や嘔吐を起こしやすくなっています。食事は無理にとるより、食欲に応じて対応するのが良いです。
万有製薬パンフレット