うつ病 -2007年6月1日掲載-

うつ病とは

気分が滅入ったり、何をやっても楽しくないなどといった気分になることは誰にでもあることです。しかし、時としてそのような状態が強く、また長期にわたり現れることによって、日常生活にも支障をきたしてしまうことがあります。この状態が「うつ病」です。

しかし、うつ病は、早期に専門医による治療を受けることで回復を早めることが可能です。

うつ病の症状

うつ病の主な症状には、気分が落ち込む、やる気がなくなる、判断や決断ができない、自分を責める、睡眠障害、食欲不振・胃の不快感、頭痛・肩こり・腰痛、疲労感、動悸・息切れ・めまい、腹痛・下痢・便秘などがあります。

うつ病の原因

うつ病は、ストレスなど何らかの理由で、脳の神経細胞間を行き来するセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が減少して、思考や感情が鈍くなり、引き起こされると考えられています。

うつ病の治療法

うつ病
うつ病は、早期発見と適切な治療により改善される病気です。治療の基本は、休養と薬物療法です。十分な休養をとり、医師の指示に従って薬を正しく服用しましょう。

うつ病の回復には、ある程度の時間が必要です。治療の効果が現れないからといって焦らずに、じっくり治療することが大切です。

休養

うつ病の患者さんは、身体的・精神的に過重な負荷を受けながら精一杯頑張った果てに、疲れきった状態に陥っていることが多いので、まず「休む」ことが治療の基本となります。

仕事や家事、勉強などを忘れて、疲れた心とからだを十分に休めましょう。それと同時に、医師の指示に従って「抗うつ薬」を服用します。

薬物療法

うつ病治療の中心となるのが「抗うつ薬」です。抗うつ薬は、脳内で減少したセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の量を増やすことで、情報伝達を活性化して、気分を晴れやかにしたり、不安や焦りなどの症状を軽減します。

抗うつ薬には、以前から用いられてきた三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬の他に、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という新しいタイプの薬も使われるようになっています。

抗うつ薬は、どの種類の薬もほぼ同じような治療効果が認められていますが、副作用(口が渇く、便秘、排尿困難、眠気、だるさ、吐き気、嘔吐など)はそれぞれ違います。そのため、患者さんの状況に応じて、副作用ができるだけ問題にならない薬を選択することが重要になります。

初めは少量から服用を開始し、様子を見ながら徐々に量を増やして、有効な量まで調整していきます。十分な治療効果が現れる薬の量は人によって異なり、先に副作用が強く出て、有効量まで増やすことができなくなることもあります。副作用の程度も人によって違うため、使ってみて副作用が問題となれば別の薬に替えるという方法がとられます。

抗うつ薬は、服用を開始して数日が経過してから徐々に効き始め、1~4週間のうちに次第に効果が現れてきます。すぐに効果が現れなかったり、症状が出なくなったからといって、自分の判断で勝手に服用を中止してはいけません。また、副作用が出たり、長期間薬を服用しても効果が現れないときは、主治医に相談しましょう。

また、症状が出なくなった後も、再発予防のために、少なくとも6~8ヶ月は薬の服用を続け、元の状態に戻ったのを確認してから、徐々に服用量を減らしていく必要があります。主治医の指示があるまでは、きちんと服用を続けましょう。