喘息とは
喘息は気道が狭くなって呼吸が苦しくなる「喘息発作」を繰り返す病気です。
発作が起きると、呼吸に伴って「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がします。
これは喘息の典型的な症状で「喘鳴」と呼ばれます。発作が、ひどくなると、呼吸困難になり、命にかかわることもあります。
発作が治まると呼吸は楽になりますが、発作が治まっているときでも、気道には慢性的な炎症が起こっています。常に炎症が起こっているため、気道が過敏になり、わずかな刺激が加わっただけでも、発作が起こるのです。
喘息チェック
実際は喘息なのに自分では喘息でないと思っていたり、症状が軽くて気付かなかったという人が多いようです。
以下の項目に1つでもあてはまる場合は、喘息の可能性があります。1度、内科、呼吸器科、アレルギー科などの受診をお勧めします。
- 横になると呼吸が苦しくなる
- せきがなかなか治まらない
- 階段などを上ると息が切れる
- 明け方、苦しくて目が覚める
- 息をするとヒューヒューという音がする
咳や息切れなどの症状は、喘息以外の病気でも起こることがあります。
喘息治療の基本は薬物療法ですが、ここでは発作が起きる原因と自分で出来る日常の注意について述べたいと思います。
喘息発作の要因
喘息の患者さんに聞いたアンケートでは、以下のものが原因となっているようです。
順位 | 原因 | 回答割合 |
---|---|---|
1位 | 風邪 | 68.9% |
2位 | ほこり | 46.5% |
3位 | 天候 | 41.1% |
4位 | 疲労 | 35.3% |
5位 | ストレス | 28.9% |
(複数回答 神奈川ロイコトリエン研究会)
そのほかに、たばこ、睡眠不足、アルコール、花粉、ペット、薬物などもあげられています。
発作の要因を取り除く日常生活の注意
喘息の患者さんの気道には慢性的な炎症があり、過敏になっているので、わずかな刺激でも発作が起きやすくなっています。治療を継続するとともに、日常生活ではいろいろな注意が必要です。
風邪の予防
風邪を引くと気道の粘膜がいっそう過敏になって、発作が起きやすくなります。日ごろから過労や寝不足を避け、外出時のマスク、帰宅後のうがい、手洗いなどを励行し風邪の予防をしましょう。また、ワクチンを接種するなど、インフルエンザの予防にも心掛けましょう。
刺激物質を避ける
タバコの煙や冷たい空気などの刺激によって、発作が誘発されることがあります。患者さん自身が禁煙することはもちろん、周囲の人が吸うタバコの煙も避けましょう。
アレルゲンの除去
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が分かっている場合は、それを避けます。アレルゲンは皮膚検査や血液検査で調べることが出来ます。日本では、ダニが原因になっている例が多くみられますが、ダニはハウスダスト(ほこり)の中にも含まれます。ハウスダストがたまりやすい布製のものを避ける、植物を室内に置かない、ペットを室内で飼わないなどを行ったうえで、こまめに掃除をしてハウスダストを減らしましょう。
ハウスダスト除去のポイント
- 布製のものを避ける。布製のソファー、クッション、カーペット、ぬいぐるみなどはダニのすみかになりやすい。できるだけ避けるか、こまめに洗濯を。
- 観葉植物などを室内に置かない。土にカビがはえたり、湿度が上がってダニが繁殖しやすくなる。
- 室内でペットは飼わない。犬、猫、ハムスター、モルモット、ウサギなどのペットの毛、垢、唾液などがアレルゲンになる。飼わないを原則に、どうしても飼いたい時は屋外で飼えるペットを。
掃除のポイント
- 掃除機やぞうきんを使い、毎日掃除をする。
- 掃除をするときは、窓を開けて換気をよくする。
- 掃除機をかけるときは、1平方メートルにつき20秒以上かける。
- 布団は最低でも週に1回、2~4時間干す。ダニの死骸もアレルゲンになるので干した後はよく叩き、布団も掃除機をかける。
- 掃除のときはマスクをするとよいでしょう。
市販の風邪薬などを自己判断で使用しない
成人の喘息患者の約10%にアスピリン喘息があるといわれています。アスピリン喘息とは非ステロイド性消炎鎮痛剤を、飲んだり、使用したりすることによって起こる喘息のことです。今までに痛み止めや解熱剤を使用して喘息がひどくなったり喘息発作が起こったことがある人は注意が必要です。飲み薬だけではなく、シップや塗り薬、目薬などにも含まれています。市販の風邪薬や痛み止め貼付剤などには、ほとんどの場合、非ステロイド性消炎鎮痛剤が含まれていることが多いので、自己判断で薬を服用しないようにしましょう。市販の薬を購入する場合には、ご自身の病気のこと、服用している薬品名を伝え、薬局の薬剤師に相談して購入するか、いつも受診している病院で適切な風邪薬を処方してもらってください。
以上、今回は喘息発作の起こる原因と日常生活の注意について述べましたが、処方された薬を正しく服用することも忘れないように、上手に喘息をコントロールしましょう。
NHK「きょうの健康」 2005年12月号 NHK出版
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