肩こりについて -2005年10月1日掲載-

肩こりとは

肩こりは首すじ、首のつけ根から背部や両肩にかけてこわばり感、はった感じ、重だるい感じ、痛みなどの入り交じった不快な感覚の総称です。主観的にはきわめて苦痛を伴い、時には頭痛、悪心やめまいなどを伴います。つまり、頸部、肩甲帯、背部における筋肉の疲労・過労状態による局所痛、放散痛、関連痛などを含んでいます。

人体の構造的宿命としての肩こり

肩こりについて
人は重力を受けるので力学的に首、肩の筋肉にいつも過剰な負担をかけている状態が続いています。立位・坐位では肩の筋肉は常に重力に抗しながら上肢を支えています。さらに、手に物を持つことや手の動作などは肩の筋肉を使うことになるので筋肉の過労・疲労状態に陥りやすくなります。また、精神的な緊張は筋肉の持続的緊張を助長します。そのような人体の構造的基盤が筋疲労としての肩こりを生むわけです。

肩こりになりやすい人・なりやすいタイプ

肩こりを有する人にはかなり共通した特徴があります。

  1. 姿勢が良くない(猫背)人や筋力が弱い人
  2. 緊張しやすい人や完璧を期待する人
  3. 手作業が多い人や筆圧が強い人
  4. 運転など長時間にわたって同じ姿勢をとり続ける人

いずれも肩周辺の筋疲労や筋緊張が持続するタイプの人です。一般に、若年層には肩こりは少ないのですが、受験勉強を続ける人や前屈み(猫背)をとる人などに肩こりが蔓延しつつあります。これらはいずれも筋肉疲労に由来する肩こりであり、その程度は日々の作業や生活スタイルによって変動しているのも特徴です。

肩こりの発生原因

肩こりの原因として病気の兆候であることを除けば以下の説が上げられていますが1つの説では説明できないことが多く、いずれもいろいろな程度に重なって肩こりが発生します。

体格説
腕を支えるために必要な首や肩の筋肉が未発達(なで肩など)。
猫背説
姿勢が良くない(猫背、前屈み)
緊張過多説
ストレスが増加し、筋緊張がほぐれない。
意識説
肩こりという言葉や概念があることによって意識が高まる。

日常生活における肩こりの予防と対応
(一般的な肩こりである筋疲労性の肩こり)

正しい姿勢
前屈み、猫背の不良姿勢を直すことが第一です。胸を少し張り、力を抜いて、あごを少し引き、気持ちを頭上5cmに置くように心掛けます。場合によっては装具を用いて矯正することもあります。
肩周辺の筋をゆるめる
肘掛や手すりを活用し肩の負担を減らす(パソコンなどの使用時には手首の下に物を置くなどする)、長時間同じ姿勢を続けない(運転や机仕事など)、筆圧を強くしない、細かい手作業は時々休む、通勤時にはつり革を軽く持つ、時々は肩・上肢のストレッチなどに留意してください。
体操・ウオーキング
適度な運動は予防的な効果を高めます。散歩やウオーキングなど無理なく行える運動を続けることが大切です。
入浴
温める効果と気持ちをリラックスさせる。
日常生活の習慣を見直す
日常の姿勢や習慣、あるいは精神的な緊張などに筋疲労であることが多く、冷静に自分の生活様式を見直すことが最も大切です。しかし、なかには適切な治療を要する病気であることもあり、肩こりが長引く場合や苦痛が強い場合にはまず整形外科を受診して相談することをお勧めします。