食中毒-家庭にひそむ落とし穴- -2005年6月1日掲載-

夏が近づいてくると テレビでも話題になりますよね。食中毒。飲食店でばかり起こっているようですが、その内20%は家庭で起こっています。夏場だけでなく年間通して100件以上の報告があり、特に7月~9月で倍の200件近くの報告が上がっているのです。大好きな環境が 高温多湿(25℃以上・湿度70%以上)ですので納得です。また、人は高温多湿の環境では抵抗力が低下しやすいのでさらに悪循環となります。

食中毒菌

食中毒
食中毒の原因になる細菌を食中毒菌といいます。食材に付着していることがほとんどですが、黄色ブドウ球菌は手についていたりします。食品中でどんどん繁殖していっても 色・味もにおいもかわらないため要注意!

食中毒の症状は悪心・嘔吐・下痢・発熱ですが、抵抗力の弱い子供やお年寄りでは 血便・脱水症状を起こすこともあります。

主な食中毒と対策
原因菌 主な食材 対策
サルモネラ 卵・肉 ひび割れた卵は処分、賞味期限内消費
カンピロバクター 鶏肉 十分な加熱・調理器具の熱湯消毒
腸炎ビブリオ 生鮮魚介類 低温管理(10℃以下)・水道水洗浄
病原大腸菌 野菜・肉 加熱処理
黄色ブドウ球菌 おにぎり・弁当類
(人間を介して食品に付着)
手を洗う(傷がある時には手袋)
水気の少ないおかず・冷めてからふた

予防のポイント

年中 暑い東南アジアの諸国。意外と食中毒の発生が少ないのはご存知ですか?朝食や昼食さらに夕食も外食になることが多いお国柄でも対策は 洗う・加熱 です。少しでもさめたものは食べず捨ててしまうのです。

食中毒予防の基本原則

つけない
手から食品へ、食品から調理器具へ、調理器具から食品へなど 細菌を別のところへつけると、食中毒が起こりやすくなるので 細菌をつけないようにする。
増やさない
細菌は 高温多湿の環境で繁殖する。食品は冷蔵庫で保存するなど、細菌を増やさないようにする。
殺菌する
多くの食品は加熱によって死滅する。加熱調理したり、調理器具を熱湯消毒して、殺菌すること。

台所の衛生管理

包丁
にぎった手に食中毒菌がついている場合もありますので柄の部分も忘れずに洗剤で洗い、80℃以上のお湯をかけます。素材別に使い分けるのもお勧めです
台ふきん
濡れたままのふきんを毎日使い続けないように数枚用意し、漂白・煮沸消毒したうえ、乾燥させます。
まな板
包丁を使うことでつく傷には無数の細菌が入り込みます。これは洗剤で洗っただけでは落ちませんので熱湯消毒したうえ、十分乾燥させる必要があります。また、肉・野菜・魚と食材別にまな板を使い分けるのも2次汚染の予防に有効です。
スポンジ
“洗剤を含んでいるから細菌はつかない”と思いがちですが、汚れや洗剤がついた濡れたスポンジ・たわしは絶好の細菌繁殖場所となります。いくつかを交代で使いわけ、汚れと洗剤をきれいに洗い流したうえで十分に乾燥させます。
冷蔵庫
温度の上昇を防ぐために、扉を開けている時間はなるべく短くします。
細菌を庫内にもちこまないために、野菜や土を払い落としてから、肉・魚介のパックは一つずつポリ袋に入れます。
2週間に一度はぬらしたふきんで庫内を掃除して、消毒用アルコールで消毒します。

食中毒は簡単な方法で予防できます。これら3つのポイントをしっかり守って家庭から食中毒をなくしましょう。
NHK「きょうの健康」 2004年6月号 NHK出版