点眼剤の使用法について -2004年6月1日掲載-

点眼剤はあまりその使用法について関心をもたれていないように思いますが、点眼剤は正しく点眼することで本来の治療効果を発揮し、誤用や過量使用による副作用を軽減し、さらには点眼剤の汚染を防止することができます。ここではその点眼剤の使用法について書きたいと思います。

点眼する前に手を石鹸でよく洗ってください。

点眼剤の多くは、1週間以上の期間反復使用され、その為微生物によって汚染される機会が多い。手指から点眼液への汚染は意外に多いのです!汚染によって角膜障害が引き起こされることもあるんです。

指で下まぶたを下方に引っ張り、1~2滴を確実に点眼します。またポイント(1)と同じ理由でこの時、容器の先が眼やまつ毛、まぶたに触れないよう注意しましょう。

点眼剤の使用法
点眼液1滴は30~50μlであるのに対し結膜嚢の最大容量は約30μlであるため、点眼された点眼液は涙液と混じりあい、その後大部分は涙点を通って眼外へ排出されます。その為特別な意図がなければ確実に1滴が点眼されれば十分な効果が得られます。むやみに点眼滴数を増やしても眼外へ溢れ出したり、鼻涙管を介して消化管へ向かう量を増やすだけとなり、逆に作用の強い点眼剤では血中への移行により全身的な副作用を引き起こす可能性もあります。

点眼後は静かにまぶたを閉じて、まばたきをしないで約1~5分間目を閉じてください。点眼後に軽く目がしらを押さえるのも効果的です。

点眼された点眼液は、目がしらに集まりその後まばたきに伴い、涙点から吸い込まれ鼻腔に排泄されます。点眼直後に何回もまばたきをしたりすると、点眼剤の眼からの排出を早めてしまい逆効果です!

眼から溢れ出た点眼液は清潔なティッシュペーパーやガーゼ等でふきとってください。

眼瞼皮膚は薬剤に起因する過敏反応が発生しやすい場所です。接触性皮膚炎の原因になることもあります。

2種類以上の点眼剤がでた場合は5分以上感覚をあけて点眼してください。

一般に最初に点眼された薬物は後に点眼した液によって洗い流されます。このため個々の点眼剤は他の点眼剤の影響をうけないようにできるだけ間隔をあけることが望まれ、5分以上の点眼間隔をあけることで、相互の影響はほとんどなくなると考えられています。

保存方法

  1. 開封後は汚染の危険性があるのでフタをしっかりしめて、袋にいれて不潔にならないように注意し、なるべく早く使用してください。
  2. 点眼液は温度や光で成分が変化し効果が低下することがあるので、直射日光をさけ、なるべく涼しい所に保存して下さい。冷暗所保存(冷凍室にはいれない)などの指示がある場合はそれに従ってください。

その他の一般的注意事項

  1. 懸濁型の点眼剤はよく振ってから使用してください。
  2. 用時溶解型の点眼剤は溶解時に振って溶かしてから使用して下さい
  3. 用法用量を守ってください。
  4. 容器に記載されている使用期限は開封前の期限です。治癒後は使用期限内であっても残った液剤は捨ててください。
  5. 誤用を防ぎ品質を保持するため他の容器には入れ替えないでください。
  6. 他の人にはかさないでください。
  7. コンタクトレンズを装着されている方は医師、薬剤師に相談してください。

参天製薬株式会社ホームページ「眼の健康」
日経DIクイズ 2服薬指導実践編
「患者の理解を高める 非経口剤の服薬指導のコツ 4点眼剤」P20~P22