寝つきが悪い
寝つきが悪くなる理由(1)
寝つきの悪さの多くは、生活のリズムの乱れや心の不安などにより、活動や眠りを調節する「体内時計」のリズムが妨げられることが原因です。体内時計が体内の時刻を太陽の光という時報に合わせてリズムを刻み始め、約10~13時間は体が活動に適した状態となります。その後、約14~16時間が経過すると、眠りにつくための準備が始まります。そのため平日規則正しい生活をしている人が休日に朝寝坊をすると体内時計がずれてしまい、寝つけなくなり寝不足で休み明けを迎えることになります。
体内時計
脳の視床下部の「視交叉上核」にある仕組みで、約25時間周期でリズムを刻んでいます。このリズムを太陽の光を浴びることで24時間に調節して生活しています。
寝つきが悪くなる理由(2)
「不安」や「緊張」が原因のこともあります。試験や重要な会議など、翌日に大切な予定があると緊張により寝つけないことがあります。また、眠れない日が続くと眠れる自信がなくなったり、睡眠不足で何かに失敗すると、また睡眠不足で失敗したらどうしようと考えてしまい眠れなくなることもあります。
寝つきを良くするには
朝のポイント
- 休日でも朝は決まった時間に起きて、太陽の光を浴びる。それによって体内時計に多少のずれがあっても夜もきちんと眠りの準備が始まるようになってくる。
夜のポイント
- 床につく前にリラックスする:音楽鑑賞、軽い読書、軽いストレッチ
- 眠くなるまで床につかない:眠気を感じる時間は日によって違うもの
- 寝つけなければ床を離れる:まだ眠りの準備が始まっていないと考え、床を離れてリラックスする。
熟睡できない
夜中に何度も目覚める「中途覚醒」は年配者に多く見られます。これは加齢に伴い睡眠量や質が変わってくるためです。
睡眠の量の変化
年をとると、活動量や消費エネルギー量が減る為、「活動する昼」と「休息する夜」のメリハリが少なくなります。そのため疲れが溜まりにくくなり睡眠時間も減少してきます。
睡眠の質の変化
睡眠中は、浅い眠りの「レム睡眠」とそれ以外の「ノンレム睡眠」の繰り返しだが、年をとるとノンレム睡眠が減少して、眠りが全体的に浅くなり、目覚めやすくなります。
ぐっすりと眠るためには
寝床にいる時間を減らす
年齢とともに睡眠時間が減ることを理解し、自分に必要な睡眠時間を把握する。特に働いている時と退職後では必要な睡眠時間が変わってくることを理解する。
運動習慣で昼夜のメリハリをつける
無理なく続けられる運動を行うと昼間に蓄積した適度な疲労によって、夜の深眠りにつながる。
睡眠薬について
睡眠薬には「副作用が怖い」「やめられなくなる」などのイメージをもつ人 多いが現在の薬は正しく使用すれば安全性の高い薬です。睡眠薬は不眠症を治すきっかけをつくり、不眠になる前の状態に睡眠を戻す為の治療薬だと認識することです。
睡眠薬の種類
超短時間作用型・短時間作用型・中間作用型・長時間 作用型の4種類があります。そのため受診した時、医師に何がきっかけで眠れなくなったか、どの時間帯に眠れないのか、毎日眠れないのかなど、症状をできるだけ詳しく伝えることが重要です。
睡眠薬のやめ方
まずは睡眠薬を服用して薬がなくても安心して眠れるという「眠れる自信」がつくことが減量への第1歩です。眠れる自信がついたら医師と相談して、減量していけば止めることができます。症状が良くなってきても自分の判断で勝手に止めたり減量したりすると、症状がぶり返したり逆に症状が悪化したりすることがあるので、必ず医師と相談して止めるようにして下さい。
睡眠薬を飲む時の注意
- お酒と一緒に飲むと眠気、だるさ、服用後の記憶が一部ないなどの副作用が起こりやすくなるので、絶対に一緒に飲まないで下さい。
- 人によって不眠の症状は違うので、他人にあげたりもらったりしないしないようにして下さい。
NHK「きょうの健康」 2004年8月号 NHK出版