閉経に伴う更年期の病気 -2011年9月15日掲載-

閉経に伴う更年期の症状というと、ホットフラッシュ症状(ほてり・のぼせ)や気分の変動や不安、不眠、集中力低下、頭痛、疲労、めまい、しびれ、動悸など精神神経系や自律神経系の自覚症状がはっきりしているものが強調されがちですが、閉経によって女性ホルモンが減少すると、そのほかの病気にもかかりやすくなります。

脂質異常症、骨粗しょう症、尿失禁、膀胱炎などが挙げられます。閉経前の女性は男性に比べて脂質異常症になる割合が低いのですが、更年期を過ぎると男性と逆転します。

これは女性ホルモンがLDL(悪玉)コレステロールの低下やHDL(善玉)コレステロールの増加に関わっており、脂質異常症を防いでいるからです。脂質異常症は自覚症状がありませんが、動脈硬化を引き起こして心筋梗塞など血管系の病気の原因になることがあります。そうならないためにも、閉経後は食生活に一層心掛ける必要があります。

また、女性ホルモンは骨形成を促進するよう働くため、閉経後は骨がもろくなって骨粗しょう症になりやすくなります。治療には、女性ホルモンに似た作用の薬を使用することもあります。

頻尿や残尿感などの膀胱炎症状が出る方も増えます。これは、女性ホルモンの低下により、膀胱が萎縮して小さくなり、粘膜も薄くなって細菌に感染しやすくなるためです。治療には通常の抗生物質を用いますが、いつもトイレが近く、膀胱炎を繰り返すような場合には軽い女性ホルモンも使われます。

このように閉経後には更年期障害以外にも様々な病気になりやすくなることを知っていただき、自覚症状がなくても、定期的に健康診断を受けることをお勧めします。