咳は、気道内異物(病気の原因になる細菌やウィルス)や分泌物を除去するための生体防御反応の一つです。咳が見られる場合には、咳の原因をはっきりさせて治療することが大切です。咳の持続日数・咳の多い時間帯・咳の症状・発熱の有無などをメモすることは原因究明に役立ちます。
咳は、痰(たん)を伴う湿性咳嗽(がいそう)と伴わない乾性咳嗽に分けることができます。湿性咳嗽の原因疾患には、慢性気管支炎・気管支喘息・慢性副鼻腔炎・逆流性食道炎・肺結核・肺真菌症等があり、その治療は原因疾患に対するものが優先されます。
乾性咳嗽の原因疾患には咳喘息・アレルギー性気管支炎・間質性肺炎・薬剤性の咳(ACE阻害剤等)・精神性の咳等があり、その治療は咳自体が有害なことが多いので、咳に対し行われます。
咳の原因によって治療は異なります。気管支喘息には気管支拡張薬・副腎皮質ステロイド、逆流性食道炎には制酸剤、アレルギー関与にはアレルギー剤、呼吸器感染症には鎮咳薬・抗生物質・抗真菌薬等の薬が使用されます。
喫煙や喉の乾燥が咳の原因になることもあります。咳が続くと息苦しさや体力の消耗を伴うため、一刻も早く抑えようとしがちですが、咳には異物を取り除く作用があるので、原因がはっきりしないうちに、咳を止めてしまうのは考えものです。早期に病院で診断を受けましょう。
頻度は高くありませんが、薬の副作用で起こる間質性肺炎には注意が必要です。抗がん剤、抗リウマチ薬、抗菌薬や市販の風邪薬などでも起こることがあります。少し無理をすると息切れがする、空咳がでる、発熱するなどの症状が、薬を服用中に急に出現したり、持続したりするときは、医師・薬剤師に連絡をしてください。