溶連菌感染症について -2024年11月29日掲載-

喉の感染症の原因はウイルス性と細菌性のものがあり、子供の咽頭炎の原因の多くはウイルス性です。
しかし細菌性の感染症の中では、溶連菌が最も頻度が高くなっています。
今回は溶連菌感染症についてご紹介します。

溶連菌とは?

溶連菌とは
溶連菌の正式名称は溶血性連鎖球菌です。A群、B群、C群、G群など様々な種類がありますが、この中で日常的によくみられるのがA群β溶血性連鎖球菌です。
この菌は主にのどに感染して、咽頭炎や扁桃炎を起こしたり、小さな赤い発疹を伴う場合もあります。

症状は?

溶連菌は2~5日程度の潜伏期間を経て発症することが多いです。発症年齢のピークは5~15歳ほどと言われていますが大人が感染することもあります。
症状としては

  • 咳や鼻水が少ない喉の強い痛み
  • 38℃以上の突然の発熱
  • 舌先にぶつぶつが出るイチゴ舌
  • 身体に痛みやかゆみを伴う小さな発疹ができる などがあります。

検査・診断は?

検査方法は、迅速検査・培養検査・抗体検査があります。

迅速検査:
病院内でできる検査で、綿棒で喉をぬぐって結果がすぐにわかります。
ただし、喉に元々いる菌に反応したり、菌の数が少ない場合は陰性になることもあるため、症状と照らし合わせながら判断する必要があります。
培養検査:
喉の細菌を培養して確認する方法で、専用の検査会社に提出するので時間がかかります。
検査前に抗生剤を服用していると、陽性でも培養検査で検出できないことが多いです。検出されても菌量が少ない場合は症状と照らし合わせながら判断されます。
抗体検査:
血液の抗体の上昇があるかどうか確認する方法です。専用の検査会社に提出するので時間がかかります。
溶連菌に感染すると身体の中にある特定のたんぱく質が上昇するのでそれを測定することで感染しているか判断します。しかし、数値が上昇するのは感染後から早くても1週間後なので急性期の診断には有用ではありません。

最終的には、症状とそれぞれの検査の特徴を考慮して確定診断を行います。

治療は?

治療には抗生剤が使われ、ペニシリン系の抗生剤を1週間から10日間内服します。経過としては1~3日程度で解熱、喉の痛みも改善することが多いです。しかし、症状が楽になったからと途中でお薬を中止してはいけません。飲み切ることで合併症を予防することができ、お薬の耐性化を防ぐことにもつながります。
食事は喉の痛みが強い場合は、熱いもの、辛いもの、刺激物は避け、のどごしがよいもの(ゼリーなど)や消化のよいものを食べましょう。
発症後、2~3週間は他の人に感染させる可能性がありますが、抗生剤を飲むことで、2日程度で他の人への感染力はなくなると言われています。抗生剤服用開始から24時間以上経過しており、解熱・食欲の改善があり、全身状態に問題がなければ登園・登校は問題ないとされています。

予防は?

溶連菌は予防のためのワクチンがありません。流行時期は1月~4月といわれていますが、最近は夏場も多く認められるようになっています。
咳やくしゃみで飛び散った細菌を吸い込んで感染する飛沫感染と、物や手を介して口から菌が入ってしまう接触感染が主な感染経路です。
予防としては主に普通の風邪と同じです。

  • 手洗いとうがいをしっかり行う
  • 栄養バランスのいい食事をとる
  • 十分な睡眠をとる
  • 感染している人が近くにいる場合はタオルや食器は共有しないようにする

など

これからの寒い時期は免疫力も下がりやすく、ほかの感染症も流行しやすくなります。生活習慣を整えて免疫力を高め、しっかりと感染対策を行いましょう。