歯周病について -2024年9月30日掲載-

歯周病とは細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき、歯を支える骨などが溶けてしまう病気になります。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないと、そこに多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりします。ただ痛みはほとんどの場合ないと言われています。
歯周組織は「歯肉」、「セメント質」、「歯槽骨」、「歯根膜」の4つから成ります。歯周病では、これらの歯周組織に炎症が起こり、長い時間をかけて徐々に破壊されていきます。
炎症はプラーク(歯垢)が歯の周りに付着して起こります。プラークは口の中に住んでいる生きた細菌が集まってできた塊です。
このプラーク1mgの中には数億個の細菌がいると言われています。
プラークは歯と歯肉の境目あたりに付着し、歯肉に炎症を起こします。(歯肉炎)
すると歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)が深くなり、ポケットができます。ポケット内にプラークが溜まるようになると、歯槽骨など歯肉以外の歯周組織に炎症が及びます。(歯周炎)
放置するとポケットは歯周ポケットとなり、深くなってプラークはさらに奥へと入り込みます。それとともに歯槽骨が徐々に溶け出して歯がグラつくようになり、抜けてしまうこともあります。
歯周病について
歯周病は早期には自覚症状が現れにくく、気付かないうちに進行しやすいという特徴があります。成人の8割以上に歯周病があると推測されています。また、最近では小中学生の若年層にまで広がりをみせてきています。
歯肉に炎症が起こると歯肉の色が変化、腫れや出血、口臭、口の中がネバネバすることがあります。日頃から、色、腫れ、出血などの歯肉の状態などに気をつけることが大切です。半年に一回は歯科でチェックを受けるようにしましょう。

歯周病は増加の一途をたどっており、高血圧の次に患者数が多いと言われています。
歯周病との関連が指摘されているものには、「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」「動脈硬化」「糖尿病」「早産・低体重児出産」などがあります。このうち、がん、脳卒中、心筋梗塞、肺炎は、日本人の死因の上位4疾患に含まれます。歯周病が直接命を脅かすことはありませんが、歯周病を長く患うことはこれらの重大な病気のリスクを高めているといえます。

歯周病には、「感染症」という側面のほかに、「生活習慣病」の側面があります。「きちんと歯磨きをしない」「甘い食べ物をよく食べる」「頻繁に間食をする」「喫煙」「飲酒」「ストレス」「口呼吸」などの生活習慣があると、歯周病菌が増殖しやすく歯周病が治りにくくなります。
このうち喫煙は、ニコチンの作用で歯肉の血流が悪くなり、歯周病を悪化させると考えられています。また、飲酒すると酔いのため、歯磨きがおろそかになりがちですので気を付ける必要があります。

現在では歯周病は予防でき、治療も可能です。大切なのは予防、診断、治療、メンテナンスです。歯周病治療は急速な進歩を遂げ、以前は治療は難しいと言われていましたが、現在では進行を阻止し、健康な状態を取り戻すことも可能になりました。歯周病の原因は歯垢ですから、ためない、増やさないことが大切です。そのため日々のブラッシング、定期的な歯科受診、歯科衛生士によるクリーニングを受けるようにしましょう。