最近、TVCMにもなっている「RSウイルス感染症」ですが、どのような病気かご存知でしょうか?
RSウイルス感染症は日本の感染症法において第5類感染症に定められ、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、皆さんがよくご存知の感染症と同じ位置づけとなります。
2歳までにほぼすべての子どもが少なくとも1度は感染するとされていますが、何度も感染と発病を繰り返すため、成人、特に高齢者にも影響を及ぼす可能性があり、注意が必要です。
流行時期
RSウイルス感染症は、以前は夏から増加傾向となり秋にピークがみられていましたが、2021年以降は春から初夏にかけて増加し、夏にピークがみられています。
症状
通常、RSウイルスに感染してから2~8日間の潜伏期間を経て発症し、鼻汁、咳などの上気道の症状、発熱などの軽い風邪症状が続きます。
多くの方はそのまま数日間で回復すると言われていますが、一部の方は喘息、呼吸困難などの下気道の症状が現れ、細気管支炎や肺炎など重症化することもあります。
重症化するリスクが高いのは、基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)や、生後6か月以内の乳児、また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者であり、感染に特に注意が必要です。
感染経路
RSウイルス感染症の感染経路は、接触感染、飛沫感染です。
麻疹や水痘、結核のように、空気感染はしません。
- 接触感染:感染者との直接の接触や、感染者が触れた物品(ドアノブ、手すり、おもちゃ、コップなど)を触ったり、なめたりすることによる感染。
- 飛沫感染:感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散るしぶき(飛沫)を、近くにいる人が吸い込んでしまうことによる感染。
- 空気感染:飛沫に含まれる水分が蒸発し、空気中に漂った病原体を吸い込んでしまうことによる感染。
治療
RSウイルス感染症には特効薬はありません。
治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。
予防
- 子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどの消毒
- 流水・石鹸による手洗い、アルコール製剤による手指衛生
- マスクの着用(鼻汁、咳などの呼吸器症状がある場合)
- RSウイルスワクチン
60歳以上を対象としたワクチンや、生まれてくる子の予防のための妊婦を対象としたワクチンなどがあります。
さいごに
家庭内では、咳などの症状がある乳幼児がいる場合には、高齢者や子供はなるべく接触を避け、感染を防ぐための対策が重要です。
また、長期療養施設(介護施設など)では集団感染が発生しやすく、高齢者は肺炎などの合併症を引き起こす恐れがあるため、特に注意が必要です。
RSウイルス感染症に限らず、感染症対策をしっかり行い、日頃からの体調管理にも注意しましょう。