近年流行しているサル痘について -2022年10月31日掲載-

これまで、主にアフリカ大陸で発生が報告されていた「サル痘」ですが、近年、WHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に当たると宣言し、欧米を中心に水面下で感染が広がっています。ここではサル痘とは何か、どんな特徴なのか、治療薬はあるのか、などを説明していきます。

サル痘とは

1985年に研究用に飼育していたサルから確認されたため、サル痘と呼ばれています。日本の感染症法では狂犬病などと同じ4類感染症に分類されます。サル痘はオルソポックスウイルス属というDNAウイルスに分類され、大きさはコロナウイルスよりも大きく、300nmを超える大きなレンガ状のウイルスです。サル痘には西アフリカ系統とコンゴ盆地系統の2種類の遺伝的系統があり、西アフリカ系統のほうが重症化しにくいといわれています。2022年以降のヨーロッパ、アメリカで流行しているのは西アフリカ系統です。日本での感染は、まだ少なく10人以下とされています。

感染経路

中央アフリカや西アフリカ地域のげっ歯類がサル痘ウイルスを保有しています。感染している動物と接触したり、かまれたり、野生動物の肉を調理したり、加熱が不十分な肉を食べたりすると感染することがあります。また、感染者の発疹、かさぶた、体液や血液に触れることや、性的行為をすることで人から人の感染が起こる可能性があります。また女性より男性のほうが感染しやすいこともわかっています。

症状について

従来のサル痘は発熱、寒気、倦怠感、頭痛、筋肉痛が起きてからニキビや水ぶくれのような発疹が全身にできます。最初は平らですが、徐々に液体や膿が溜まって腫れてきます。腫れた発疹はかさぶたになり剥がれ落ちます。たいていは2~4週間くらい症状が続き自然回復しますが、小児、妊婦、免疫不全者は重症化することもあります。今流行っているサル痘は、発熱よりも発疹が先に出る、発疹以外の症状が出ない、一部の場所のみ発疹が出る、といった従来と違う症状が出る場合があります。

感染が疑われたら

もしサル痘ではないかと思われる症状が見られたら、まず医療機関に相談してください。受診する際にはマスクの着用、発疹部位をガーゼで隠し対策をして医療機関に行きましょう。
医療機関で検体を採取しPCRで検査を行います。検査結果で感染が確認されたら、発疹が完全に治って、かさぶたが落ちるまではほかの人との接触は、避けるようにしましょう。また、人から動物への感染は不明なので、接触を避けるようにしましょう。

近年流行しているサル痘について

治療薬やワクチンはあるの?

ワクチンは天然痘ワクチンが有効ですが、日本では1976年以降は予防接種を行っていません。治療薬は、海外では2種類の治療薬があり、どちらも有効性は確認されていますが、どちらも日本では流通していません。もしサル痘曝露後4日以内ならワクチン接種により感染予防効果や重症化を予防することができます。

海外で流行っている病気ではありますが、正しい知識をつけて対応していきましょう。