加齢黄斑変性症とは?
高齢化に伴って増加している病気の一つです。
目でものを見る際に重要な働きをする「
目の中に入ってきた光は網膜で刺激として受け取り、その刺激が情報として視神経に伝達され、脳に伝わります。その網膜の中心部が「黄斑」です。
この「黄斑」が変化してしまうことで「ものが歪んで見える」「視野の中心が暗くなる・欠ける」「視力が低下する」等の症状が出てしまいます。
放っておくと失明に至ることもあるので注意が必要です。
加齢黄斑変性症には「萎縮型」と「滲出型」の2種類があります。
「萎縮型」は、黄斑の組織が加齢とともに萎縮することで起こります。進行はゆっくりです。
一方、「滲出型」とは網膜のすぐ下に脆い血管が出来てしまうことで起こります。この新生血管から浸出液が出てることによって進行するため、進行が速いことが特徴です。
加齢黄斑変性症の検査
加齢黄斑変性症が疑われた場合、視力検査の他に眼底検査を行います。これは瞳孔を開く目薬を使用して、眼底と言われる目の奥の状態を観察する検査です。加齢黄斑変性症だけでなく、様々な目の病気の検査に対して行われます。
また、蛍光色素を腕の静脈から注射し、写真を撮影することで、新生血管の有無や状態を調べる蛍光眼底撮影という方法もあります。
加齢黄斑変性症の治療
- 萎縮型:
- 経過観察
生活習慣の改善(喫煙・高血圧・肥満)
サプリメントの摂取(ビタミンC・ビタミンE・亜鉛など) - 滲出型:
-
- レーザー光凝固療法
新生血管が中心窩 に無い場合に行います。新生血管に直接レーザー光を照射し、焼き切ります。レーザー照射部の網膜も焼いてしまうので、その部分は見えなくなりますが、病変が中心窩に及ぶのを防ぐことが出来ます。 - 光線力学療法
後述する抗VEGF療法と併用することがほとんどです。ベルテポルフィンという光によって活性化する薬剤を注射した後にレーザー光を照射します。このベルテポルフィンですが、48時間は体内にとどまり、その間は光線過敏状態となります。そのため、投与後2日間は皮膚や目を直射日光や強い室内光にさらさないようにする必要があり、投与後5日間は直射日光や強い光を避けることが望ましいとされています。 - 抗VEGF療法
血管新生に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害する薬剤を注射します。使用間隔は薬剤によりますが、例えばルセンティスという薬の場合、1か月ごとに3か月連続注射し、その後は症状に応じて1か月以上の間隔をあけて使用します。
- レーザー光凝固療法
加齢黄斑変性症の治療費用
光線力学療法と抗VEGF療法では、治療費が高額になることが多いです。
高額な医療費の支払いが必要な方のために、「高額療養費制度」というものがありますので治療を受ける際に医療機関へお問い合わせください。
まとめ
加齢黄斑変性症は高齢・長寿化の進展に伴い患者数が増加している病気です。
当薬局にも加齢黄斑変性症の治療をされている患者様が多くいらっしゃいます。
加齢黄斑変性症は放っておくと失明に至ってしまう病気ですが、適切な治療を行うことで進行を抑えることが出来ます。また、早期の治療もその後の経過に大きな影響を及ぼします。
目の病気も他の病気と同様、定期的な検査を受けることで早期発見・早期治療が可能です。内科の定期検査だけでなく、眼科の定期検査も受けるようにしましょう。