認知症について -2021年1月29日掲載-

認知症は何かの病気によって起こる症状や状態の総称です。
老化によるもの忘れと認知症はちがいます。

老化によるもの忘れと認知症のちがい

老化によるもの忘れと認知症のちがい
  老化によるもの忘れ 認知症
原因 脳の生理的な変化 脳の神経細胞の変性や脱落
もの忘れ 体験したことの一部分を忘れる 体験したことをまるごと忘れる
症状の進行 あまり進行しない だんだん進行する
判断力 低下しない 低下する
自覚 忘れっぽいことを自覚している 忘れたことの自覚がない
日常生活 支障はない 支障をきたす

認知症のタイプについて

認知症のうちアルツハイマー型認知症(50%)、レビー小体型認知症(20%)、血管性認知症(15%)は「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。

アルツハイマー型認知症

脳の変化
ベータたんぱくやタウたんぱくという異常なたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死んでしまい、脳が萎縮してしまう。
画像でわかる脳の変化
海馬を中心に脳の萎縮がみられる。
初期の症状
もの忘れ
特徴的な症状
もの忘れ、もの盗られ妄想、徘徊、とりつくろいなど。
経過
記憶障害からはじまり広範囲な障害へ徐々に進行する。

レビー小体型認知症

脳の変化
脳の神経細胞の中にレビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質のかたまりができ脳の神経細胞がしめつしてしまう。
画像でわかる脳の変化
はっきりした脳の萎縮は見られないことが多い。
初期の症状
幻視、妄想、鬱状態、パーキンソン症状
特徴的な症状
注意力や視覚の低下、認知機能の変動(時間帯や日によって理解力・判断力が変動する)、幻視・妄想、鬱状態、パーキンソン症状、睡眠時の異常行動
経過
調子の良いときと悪い時を繰り返しながら進行する。ときに急速に進行する。

血管性認知症

脳の変化
脳梗塞、脳出血などが原因で脳の血液循環が悪くなり、脳の一部が壊死してしまう。
画像でわかる脳の変化
脳が壊死したところが確認できる。
初期の症状
もの忘れ
特徴的な症状
障害される能力と残っている能力がある。判断力や記憶は比較的保たれている。
手足のしびれ、麻痺、感情のコントロールがうまくいかない。
経過
原因となる疾患によって異なるが、比較的急に発症し、段階的に進行していくことが多い。

またこの他にも 正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、栄養障害、薬物やアルコールによっても認知症の症状が現れることがあります。これらは原疾患を治療することで認知機能が改善することがあるので、不調を感じたら早めに受診をすることが大切です。

日常生活でのヒント(患者さまへ)

栄養
バランスの良い食事、腹八分目を心がけましょう。また水分補給にも気をつけて脱水を防ぎましょう。
運動
散歩など無理のない適度な運動を心がけましょう。加齢に伴う体力の低下を抑え、気持ちのリラックスにつながります。
気分転換
趣味を楽しむ、電話などで会話をするようにしましょう。
転倒防止
自宅の床を片付け、スリッパや滑りやすい靴下にも注意をしましょう。

認知症への対応の仕方(介護者の方へ)

日常生活の工夫

メモ
大事な約束や連絡先はメモに書いておく。
ボード
1日の予定を書いておくと次の行動に困りにくくなる。
張り紙
物の保管場所を忘れないように引き出しなどにラベルを貼る。

認知症について

困った行動

無目的に歩き回る
服や帽子の内側に名前や連絡先を書いておく。
服装は車から発見しやすいように明るめの色にする。服や靴に反射素材を取り入れる。
紛失
財布等貴重品はひもやチェーンで衣服とつなぐ。
服薬拒否
薬によってはゼリー状や液体、貼り薬もあります。
失禁
決まった時間にトイレに誘う。トイレの場所がわかりやすいように張り紙をする。
落ち着きがなくソワソワしているときは尿意や便意の時が多い。
同じことを何度も聞く
紙やカレンダーに書く。話題を変更し興味関心事を変えてみる。
幻覚・錯視
部屋を明るくする、見通しをよくする。

介護者のストレス解消も大切

アロマを焚く・音楽を流す・ストレッチ・マッサージをしてリフレッシュする。
介護サービスを利用している時間に自由な時間をもつ。