ステロイド薬について -2006年8月1日掲載-

みなさん、ステロイド薬というと、効き目が強いが副作用も強い薬と感じておられる方が多いのではないでしょうか。

ステロイド薬は膠原病、炎症性疾患、アレルギー疾患、ネフローゼ症候群など様々な治療に用いられる効果の高いお薬です。また満月様顔貌(顔が丸くなる)や糖尿病、骨粗鬆症など多くの副作用が知られています。その意味ではこの薬は作用が強く、副作用も多い薬といえますが、副作用の多くは、一時的な減量や予防薬との併用で最小限にとどめることが可能です。

実は、副作用の中で最も注意しなければいけないのは、ステロイド薬の服用を急に中止してしまった時に起こる病状の悪化やショックなどの危険な症状の発現です。この薬は元々ヒトの体内で作られる必要不可欠な副腎皮質ステロイドホルモン(糖質コルチコイド)とほぼ同じものです。治療目的で外からステロイド薬を持続的に長期間投与すると、体が副腎皮質ステロイドホルモンをあまり作らなくなります。その状態でステロイド薬を急に中止すると、体内の副腎皮質ステロイドホルモンが不足してしまい、病状の悪化だけでなく離脱症候群と呼ばれる様々な症状が現れます。

くれぐれも、自己判断でステロイド薬を減量したり中止したりしないでください。医師は病状と副作用を天秤にかけ、少ない副作用で多くの効果が得られるよう薬の量を決めています。また、体内で作られる副腎皮質ステロイドホルモンは朝に多いことから、ステロイド薬の服用を朝や昼にすることで副作用を少なくするなど服用時間が工夫されています。

ステロイド薬とうまく付き合うためには、決められた量、時間をきっちり守り気になる症状が現れた場合には、すぐ医師や薬剤師に相談するよう心掛けてください。