C型肝炎について -2009年12月1日掲載-

C型肝炎とは?

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで発症する、ウイルス性肝炎の一種です。C型肝炎の患者さんは、全国で約200万人と考えられており、治療しないで放置すると慢性C型肝炎を経て、肝硬変、肝がんと進行します。肝硬変になると治すことができなくなり、薬により肝がんへの進行を遅らせるだけとなります。

実は肝がんの80%以上は、C型肝炎を原因とするもので、C型肝炎の段階での早期治療がとても大切です。

感染経路は?

感染経路は、輸血、血液製剤のほか、針を替えずに複数の人に注射した予防接種などがあります。1988年までは、注射の回し打ちは禁止されていなかったようです。

現在はこのような感染経路はまずなく、刺青、麻薬の回し打ち、まれにウイルス保持者との性行為などがあります。ただし、C型肝炎ウイルスをもっている人の血液が、傷などから体内に入ると感染するので、ウイルス保持者の出血は必ず自分で処理し、他人が触れないよう気をつける必要があります。

C型肝炎の症状は?

自覚症状としては、全身倦怠(けんたい)感に引き続き食欲不振、悪心(おしん)・嘔吐(おうと)などの症状が現れることがあります。これらに引き続いて黄疸(おうだん)が現れることもあります。

他覚症状として、肝臓の腫大がみられることがあります。

これらが急性肝炎の症状ですが、一般に、C型急性肝炎では、A型あるいはB型急性肝炎に比べて症状が軽いため、ほとんどの人では自覚症状がないと言われています。また、慢性肝炎の場合にも、自覚症状がない場合が多いと言われています。

C型肝炎の検査方法は?

C型肝炎は血液検査で検査することができます。血液検査では、C型肝炎ウイルスの抗体を調べ、C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを判定します。また、肝臓の細胞が壊れたときなどに血液中に放出される、肝臓の酵素であるALT(GPT)やAST(GOT)などを調べ、肝臓の状態を確認します。

1988年以前に予防注射を受けた経験のある方は、一度C型肝炎の検査をお勧めします。

C型肝炎の治療方法は?

C型慢性肝炎の治療法には、大きく分けて、抗ウイルス療法と肝庇護(かんひご)療法の2つの方法があります。

抗ウイルス療法

最近では、週1回で効果が得られるペグインターフェロン(注射)とインターフェロンの効果を何倍にも高めてくれるリバビリン(内服)の併用により約8割から9割の人が、また治りにくいタイプの肝炎でも5割以上の方が完治するようになりました。

肝庇護療法

インターフェロンが無効であったり肝硬変に至ったC型慢性肝炎患者に用いられる治療法です。肝細胞破壊の速度(肝炎の活動度)を抑えることによって、慢性肝炎から肝硬変への進展を抑えたり、遅らせたりすることができます。

C肝炎は数年前まで完治がとても難しい病気でしたが、近年医療が発達し、治る病気となりました。しかしインターフェロンはとても高価なお薬で治療には長い期間がかかり、患者さんには大きな負担となります。そこで厚生労働省と都道府県では、平成20年度からインターフェロン治療の医療費の助成を実施しています。所得に応じ自己負担の限度額が1万円、3万円、5万円に分けられ、治療しやすくなりました。また、最近では肝炎法案が衆議院で可決され、多くの肝炎患者さんへの救済が始まろうとしています。
C型肝炎について(一般的なQ&A):厚生労働省