認知症は10年前に比べると珍しくない病気として知られるようになりました。
2025年には、認知症の高齢者は700万人になると言われています。これは高齢者の5人に1人という割合です。
老化による物忘れとは異なり、一例としては朝ご飯に何を食べたかを忘れているのは老化で、食べたこと自体を忘れてしまうのが認知症です。また、どんなに手先を使っている方でも、どんなに頭を使っている方でも、認知症にならないとは限りません。
認知症の種類
三大認知症
ほとんどはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の三つで三大認知症とよばれており、約85%を占めています。残りの15%には治るタイプの認知症もあります。
治るタイプの認知症
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など何かにより脳が圧迫されている場合に起こる症状は、原因が解消すれば治ることもあります。その他、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、栄養障害、薬物、アルコールによるものなどがあります。
こんな事ありませんか?
- 同じ事を何度も言ったり、したりする
- 置忘れが増え、探し物をよくする
- 財布など盗まれたと人を疑う
- 料理、計算、運転などのミスが多くなった
- 新しい事を覚えられない
- テレビ番組の内容が理解出来ない
- 慣れた道に迷う
- 怒りっぽくなる、頑固になる
- 不安感が強い、異常に寂しがる
- 身だしなみを構わなくなる
- 趣味などに興味を持たなくなる
これらはあくまでも目安です。認知症と間違えやすいうつ症状などもあります。
認知症の進行を遅らせる薬、不安、不眠の症状をとる薬もありますので、早めに専門医を受診して、こわがらず相談してみてください。
認知症の薬 (アルツハイマー型認知症に効果のある薬)
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
- ドネペジル(製品名 アリセプト等)※レビー小体型認知症にも効果あり
- ガランタミン(製品名 レミニール)
- リバスチグミン(製品名 リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ等)
NMDA受容体拮抗薬
- メマンチン(製品名 メマリー)
現在、症状の進行を遅らせる事は出来ますが、失われた機能を回復する治療法はありません。また、どの薬にも人によっては副作用が出る場合があります。主な副作用は下痢や吐き気などの消化器症状や興奮などの神経症状、貼付剤では貼付部位のかゆみや発赤などの皮膚症状です。薬を使うことのメリットとデメリットを検討する必要があります。
ご家族や周囲の方とのコミュニケーションやデイサービスを活用した「非薬物療法」も併用したいものです。
最新の治療薬
認知症発症の約25年前からアミロイドβが、約15年前からタウというタンパク質が脳内に蓄積しはじめ、その蓄積と同時期に脳の海馬が委縮することがわかりました。そのため、「アミロイドβの蓄積を防ぐ薬」「タウの蓄積を抑える薬」「海馬の委縮を防ぐ薬」の研究が進んでいます。
iPS細胞も治療薬を作るため活用され、新薬の治験もおこなわれてます。早期の開発を期待したいものです。
家族が認知症になったら
病気と思い割り切りましょう。誰でもなる可能性がある病気です。
なかなか言うこと聞いてくれない頑固なときは、目の前のカーテンを変える様に話を変えてみましょう。命に関わる事やどうしても困る事以外は合わせてあげてください。
何より本人や家族の方が笑顔でいられることが大切です。どうぞ一人で悩まないで、誰かに相談して下さい。たとえば行きつけの薬局の薬剤師にでも。