味覚障害とは? -2015年11月30日掲載-

「味覚障害」という言葉をご存じでしょうか?
味覚になんらかの異常が現れる病気で、以下のような症状がみられます。

味覚減退
味が薄くなった、味を感じにくい
味覚消失・無味症
全く味がしない
解離性味覚障害
ある特定の味だけわからない
異味症・錯味症
本来の味と違った味がする
悪味症
何を食べても嫌な味になる
味覚過敏
味が濃く感じる
自発性異常味覚
口の中に何もないのに苦味や渋みを感じる
片側性味覚障害
一側のみの味覚障害

味覚障害の原因

味覚障害にはさまざまな原因があります。

  • 薬物性味覚障害
  • 偏った食生活による亜鉛不足
  • 高齢による味覚の減退
  • 嗅覚の低下を伴う味覚の低下(感冒罹患後に多い)
  • 口腔の病気(舌炎やドライマウス、カンジダ感染症など)
  • 心因性によるもの(軽度のうつ、神経症、転換性ヒステリーなど)
  • 味覚障害の原因となる疾患(貧血、糖尿病、肝障害、腎不全、甲状腺機能低下、胃や腸の切除、顔面麻痺など末梢神経障害、脳梗塞などの中枢神経障害)
  • 特発性で原因の特定できないもの

味覚障害の原因別頻度については薬物性味覚障害が最も多く(21.7%)、ついで特発性(15.0%)、亜鉛欠乏性(14.5%)、心因性(10.7%)と続きます。
今回は頻度の多い薬物性味覚障害についてと、亜鉛欠乏にならないための日常生活で気をつけることについてお話します。

薬物性味覚障害について

なんらかの薬を飲んだ副作用によって味覚障害がおこることがあり、薬物性味覚障害とよばれます。これは高齢者に多くみられ、降圧剤や精神疾患薬、鎮痛・解熱薬、消化性潰瘍治療薬、糖尿病薬、抗菌剤、抗がん剤など多くの薬が味覚障害の原因となります。多くは薬を服用して2~6週間で症状が出ます。薬物性味覚障害では、発症後できるだけ早期に原因となる薬物を中止または変更した方が、症状が改善することが多いとされています。しかし、原因薬剤が治療上必要な場合には、飲み続けたまま味覚症状を改善する治療を行うこともあります。「味を感じにくい」、「食べ物の味が変わった」、「嫌な味がする」などの症状に気づいたら、ご自分で判断せずに医師又は薬剤師に相談してください。

亜鉛欠乏性味覚障害にならないために日常生活で気をつけること

亜鉛が不足すると、舌の表面にある味を感じる細胞(味蕾(みらい))の新陳代謝が十分に行われなくなるため、味覚障害が現れます。1日に必要な亜鉛の量は約15mgですが、日本では多くの人が不足していると言われています。魚介類のカキ、ごま、海藻、大豆、ブロッコリー、レバーなど亜鉛を多く含む食品を積極的にとるとよいでしょう。
また加工食品に含まれる食品添加物の中には、食品に含まれる亜鉛が体に吸収されるのを妨げたり、体内の亜鉛を排泄したりしてしまう化合物が多く含まれることも報告されています。加工食品のとりすぎには注意しましょう。摂取した亜鉛が効果的に働くためには、日頃からビタミンやミネラル、たんぱく質をバランスよくとることが大切です。