花粉症とは
「花粉症」はアレルギー性疾患の一つで、花粉が体内に入ることでおこるアレルギー反応が原因です。「くしゃみ、鼻水、鼻詰まり」そして「目のかゆみ、なみだ目」など鼻や目の症状が主ですが、さらに皮膚や発熱などの全身症状も伴うこともあります。
このように、異物を排除しようとする「免疫」の働きが体に都合の悪い症状を起こすことを「アレルギー」といいます。
花粉が主な原因となるアレルギー性疾患の中でも、最も多いものはスギ花粉症で2~4月ごろに症状がおきます。スギの次が3~5月ごろにおきるヒノキ花粉症です。
花粉症がおこる仕組み
花粉が体内に入ることで、それに対して体内で抗体がつくられます。さらに花粉を吸い込むことで抗体を介して花粉と結合した肥満細胞というものから、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、それらが粘膜の分泌線・血管・神経などを刺激して目のかゆみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こします。これが花粉症の発症です。
花粉症対策
症状があらわれる前に初期治療を行い、花粉の飛散前から予防的に対応することが大切です。そうすることで症状が出る時期を遅らせ、重症化を防ぐことが可能になります。
初期治療には主に「第二世代抗ヒスタミン薬」が使われます。この薬は肥満細胞から放出されるヒスタミンが粘膜にある受容体に結合するのを阻害する薬で、眠気を起こしにくく長期間服用に適しています。初期治療は一般に花粉の飛び始める2週間前から行うのが効果的です。第二世代ヒスタミン薬は多くの場合花粉が飛び始めてからでも使われます。
薬とは別に大切なことは花粉の体内への侵入を防ぐことです。花粉飛散量の多い日は外出を控え、室内への花粉の侵入を防ぐため戸締りに気を付け外の空気を遮断する必要があります。もちろん、洗濯物も花粉の付着を防ぐため屋外に干さないことも大切です。
止むを得ず外出する場合は、マスク・眼鏡・帽子・上着による花粉対策が必要です。
- マスク
- マスクで鼻や口からの花粉の侵入を防ぎます。最近は息がしやすくしゃべりやすい立体的なマスクなどもあります。
- 眼鏡
- ゴーグル状の眼鏡などは目への花粉の侵入を防ぎます。
- 帽子
- 帽子により髪に花粉がつくのを防ぎます。長い髪はコンパクトにまとめると付着の量が減ります。
- 上着
- ウールなどの毛羽立った素材の衣服では花粉が付着しやすいので、表面がツルツルした素材を選び、花粉の付着を減らします。
花粉症の症状が出た場合、以下の対策も効果があります。
- 洗眼
- アレルギーによる目の炎症・かゆみは花粉が原因でおこるため、花粉自体を洗い流すことも効果的な方法の一つです。洗い流した後、抗アレルギーや抗炎症性の目薬の使用により症状を緩和できます。
- 鼻洗浄
- 鼻粘膜に付着した花粉を洗い流します。しかし、頻回に使用すると鼻粘膜の繊毛部分を傷つけてしまう可能性もあるので注意が必要です。
- 点鼻薬
- 点鼻薬は副作用が少なく直接使用するので爽快感がすぐ現れ、効果を実感できます。
鼻粘膜に薬を浸透させるにはまず鼻をかんだ上で行うことが効果的です。
鼻が詰まっている場合など温めた濡れタオルなどで鼻を温めると、鼻をかみやすくなります。
NHK「きょうの健康」 2006年1月号 NHK出版