認知症を疑ったら… -2012年2月16日掲載-

年を重ねると、誰でも物忘れが増えるものですが、日常生活に支障を来たすような物忘れには要注意です。

同じ物忘れといっても、加齢による場合は、物事は脳に記憶されていて、一時的にそれを思い出せなくなっている状態なので、何かのきっかけで思い出すことがあります。

一方、認知症の場合は、何かを経験したこと自体がすっぽり抜け落ちます。抜け落ちた記憶は元には戻らないので思い出す事はありません。

認知症は、老化ではなく脳の異常が原因となって引き起こされる病気で、最近増えているのはアルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が障害されて脳が萎縮することで起こる病気です。少し前の記憶がなくなることから始まり、時間や日付の感覚があやふやになり、今いる場所がわからなくなって徘徊したりします。

また重度になると家族のことも分からなくなり、食事も自分で出来なくなったりします。

アルツハイマー型認知症の治療薬は、従来のドネペジルに加えて、最近新たに3種類の薬剤が使われるようになりました。飲み方や使い方も工夫されており、錠剤のほか、水なしで飲める口腔内崩壊錠、ゼリー、細粒、液、貼付剤と多彩です。

しかし、これらは、根本的な治療薬ではなく、症状の進行を遅らせる働きをもつ薬です。そのため、早期の段階から薬を用いることが重要とされています。

「経験したこと自体を忘れる」「年相応でない物忘れ」「短い時間に何度も同じことを言う」など、認知症の初期症状を見逃さず早めの受診をお勧めします。