うつ病の薬 -2010年1月1日掲載-

「うつ病」は特殊な薬を服用する怖い病気と思われていませんか?現在は治療法が進み、軽症であれば比較的容易に回復します。重症のうつ病は極端に疲れる、気分が落ち込む、異常にネガティブで悲観的になるなど自覚がありますが、軽度の場合は、それらの症状より、だるさ、肩こりなどの身体症状を強く感じます。

うつ病の原因は脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン)のバランスの乱れで、ストレスや環境への不適応などが関与しています。決して心構えに問題があるわけではないので、気力では解決できません。

1950年代に初登場した薬は、不安を軽くする作用が優れていましたが、依存性がありました。その後、依存性がなく長期間安心して使用できる薬が開発され、現在は3つに大別できます。

1つは重症のうつ病にのみ使用されます。残りの2つはセロトニン、ノルアドレナリンの両方もしくはセロトニンだけを増やし、抑うつや不安に効果があり、副作用も少なく軽症うつ病に使われます。後半の2種類は服用初期に悪心、嘔吐、下痢などの副作用が出やすいですが、効果発現には2~4週間を要するため、症状が改善されないと感じる場合でも服用を続けることが重要です。

これらの薬剤は服用を突然中止すると、めまい、嘔吐、不安、不眠などの症状が出ることがあるので、調子が良くなっても自己判断で中止せず、医師の指示に従って徐々に量を減らしていく必要があります。

うつ病は回復に時間はかかりますが、服薬治療と十分な休養で良くなります。外見から分かりづらいので、周囲は理解しがたい疾患ですが、精神的エネルギーがなくなっているので、それが補充されるまでは焦らず見守ることが大事です。お薬についてわからないことがありましたら医師、薬剤師にご相談ください。