たかが下痢、されど下痢 -2008年2月1日掲載-

下痢とは水分の多い糞便の排泄を頻繁に繰り返す状態をいいます。症状が2~3日でおさまるものを急性下痢症、3週間以上続くものを慢性下痢症といいます。下痢には次のような原因が考えられます。

  • 細菌や毒素によって腸からの分泌物が増加する
  • 腸粘膜の炎症・潰瘍で水分や栄養が腸で吸収できなくなる
  • 副交感神経の興奮や腸内容物による刺激が消化管の運動を早めて腸の吸収が低下する

などです。

下痢に使われる薬には、腸の粘膜を保護し炎症を抑える薬、下痢の原因になる細菌や毒素を糞便中へ排泄する薬、腸内の異常な発酵を抑える薬、早すぎる腸の運動を抑える薬、などがあります。また、整腸剤といわれる乳酸菌やビフィズス菌も下痢止めとして使われることもあります。

急性下痢症の多くは原因が除去されれば自然に治ります。成人の場合はすぐに症状がよくなることも多いですが、お子さんやお年寄りの方は、症状が長引いて脱水症状を起こすこともありますので、早めの受診をおすすめします。

ご存知の方も多いとは思いますが、冬は激しい下痢や嘔吐などを引き起こすノロウィルスによる感染性胃腸炎が流行する時期でもあります。この症状を下痢止めや吐き気止めで無理に症状を抑えてしまうとウィルスが腸内にとどまり、回復が遅れることがありますので、消化の良いものを摂って腸の負担を減らすとともに脱水予防のため、こまめに少量の水分を摂取するようにしてください。

また、薬の副作用で下痢になることもありますので、お心当たりの方は医師、薬剤師にご相談ください。