今さら聞けないアナフィラキシー -2022年6月30日掲載-

皆さんは「アナフィラキシー」または「アナフィラキシー・ショック」という言葉をご存じでしょうか?新型コロナウイルスに対するワクチンのひどい副反応として連日テレビなどで取り上げられていたので、言葉は知っているという方が大半ではないかと思います。今回はそんな、今さら聞けない「アナフィラキシー」について解説します。

アナフィラキシーってなに?

結論から言うと、アナフィラキシーとは「短時間に全身にあらわれる、激しい急性のアレルギー反応」のことを言います。つまり、簡単に言うとアレルギー反応の一種なのです。
アレルギーとは、免疫(異物から人の体を守るための仕組み)が過剰に働くことによって、かゆみや炎症などの症状を引き起こす状態のことです。身近な症状としては「アレルギー性鼻炎(花粉症など)」や「食物アレルギー」が有名ですね。では、ワクチン接種の際にひどい副反応と紹介されるなど、アナフィラキシーが恐れられているのはなぜでしょうか?

命にかかわるアナフィラキシー・ショック

今さら聞けないアナフィラキシー
アナフィラキシーでは、アレルギー原因物質(アレルゲン)を体内に摂取した後、数分から数十分以内の短い時間に全身に激しい症状があらわれます。症状の種類は人により異なりますが、具体的には皮膚症状(かゆみ・蕁麻疹など)、呼吸器症状(せき込み・呼吸音がゼーゼーするなど)、消化器症状(腹痛・嘔吐など)、粘膜症状(瞼が腫れる・目の充血など)があります。
これらの症状は、場合によって急変し「アナフィラキシー・ショック」とよばれる、血圧低下・呼吸困難・意識障害などのショック状態に至ることがあります。これは命にかかわる危険な状態なので、十分に注意する必要があります。また、アナフィラキシーが起きてしまったときは、アナフィラキシー・ショックに至らないための対処が必要となります。

原因と対策

アナフィラキシーはアレルギー反応の一種なので、発生原因はアレルゲンに接触すること、または摂取することです。ワクチン関連でアナフィラキシーを知った方は意外に感じるかもしれませんが、発生原因として一番多いのは「食べ物」です。次いで「薬」や「昆虫(主にスズメバチ)」などがあります。
アナフィラキシーを起こさないための対策は、自身のアレルゲンをしっかり把握して、それを避けることです。そしてもし、アナフィラキシーが起きてしまった場合でも、まずはアレルゲンを取り除くことが重要となります。
また、発生原因が何であってもアナフィラキシーが起きた場合は、アナフィラキシー・ショックに至らないための対処が必要です。それは「救急車を呼ぶ」ことと「エピペン(アドレナリン自己注射薬)を使用する」ことです。エピペンとはアナフィラキシーがあらわれたときに使用する、症状の進行を一時的に緩和してショックを防ぐための補助治療剤です。

薬局スタッフができること

アナフィラキシーについて、何となくご理解いただけたでしょうか?
では、私たち薬局スタッフが患者様に対してできることは何でしょうか。まずは問診などをしっかり行い、患者様のアレルギー歴を確認することがとても重要です。そして、抗アレルギー薬の在庫管理を行い、患者様に薬を正しく使用していただけるような説明を行う必要があります。また場合によっては、小学校などに訪問して学校の先生方にエピペンの使用方法を説明することもあります。
アナフィラキシーに限らず、医療用語には漠然と不安を感じるものが多いのではないかと思います。良質な医療を受けていただくためにも、不安なことがあれば相談していただけると嬉しいです。