逆流性食道炎と日常生活の注意点 -2020年9月30日掲載-

逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が逆流することで食道に炎症を生じる病気です。名前はよく聞いたことがある方も多いと思いますが、この疾患はなぜ起こるのか、どういう人に起こりやすいのかご存知でしょうか?

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎は高齢の方や肥満の方に多い傾向があることがわかっています。
食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋」という輪状の筋肉があり、普段は胃酸や胃の内容物が逆流しないように食道を閉じる役割をしています。しかしこの筋肉は衰えや、食べ過ぎて胃がふくらんだときにはしまりが悪くなり、うまく食道を閉じられないと胃酸の逆流が起こることがあります。食後は胃酸の分泌が盛んになり、胃酸の量が多くなるほど逆流しやすくなります。
また食道は胃と異なり、胃酸から粘膜を保護する働きがあまり備わっていません。そのため、逆流した胃酸は食道には刺激となり、炎症やただれが生じてしまいます。

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎と日常生活の注意点
主な症状は以下のようなものがあげられます。

  • 胸やけ(むかむかする、胸が焼ける感じがする)
  • 呑酸(口の中が酸っぱい感じがする)
  • 胸痛、おなかの張り、げっぷ
  • のどの不快感(イガイガするなど)、咳
  • 睡眠障害

診断と治療

逆流性食道炎の症状を問診で確認し、内視鏡検査などで食道や胃の状態を見る方法や、胃酸の逆流状況を24時間連続的にモニターする検査があります。
治療についてはお薬の服用、そして生活習慣の改善が重要です。効果が十分に得られない場合や再発を繰り返す場合には手術になることもあります。

治療のメインとなるお薬は、胃酸を抑えるお薬です。
胃酸を抑えるお薬には大きく分け2種類あり、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、ヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)と呼ばれます。
その他には補助的に、消化管の運動を活発にする薬や、胃酸の刺激から食道を守る制酸薬や粘膜保護剤が使われることもあります。

症状の改善や再発防止のためにできること

食生活の改善

食べ過ぎることで胃が過剰にふくらみ、早食いすることで食べ物と一緒に空気を吸い込んでゲップが出やすくなり、逆流につながります。
また以下のような食べ物も原因となりますので特に体調の悪いときには控えるようにしましょう。

  • 脂肪分の多い食事
  • アルコール
  • カフェイン(コーヒー、緑茶など)
  • 香辛料(コショウ、唐辛子など)
  • 酸味の強いもの(柑橘類、酢など)
  • 甘いもの(チョコレート、ケーキなど)
  • たまねぎ

バランスの良い食事を心がけ、ゆっくり噛んで食べましょう。また腹八分目を目安にしましょう。

体重管理

おなか回りに内臓脂肪がつくと胃が圧迫され胃酸の逆流が起こりやすくなります。
適度に運動を行い、服装についてもベルトなどはきつく締めすぎないようにしましょう。

姿勢

姿勢によって胃酸の逆流を促してしまいます。以下のことを注意して逆流を防ぎましょう。

  • 食後すぐに横にならない
  • 長時間の前屈みの姿勢を避ける

また就寝時の姿勢については、上半身をやや高くすると逆流しにくくなり、横向きの場合には左側を下にすると逆流は少なくなると言われています。

逆流性食道炎は軽症であれば放置していても自然に治ることもありますが、偏った生活習慣を続けていることで重症化したり、更に悪化して、癌になる可能性もあります。気になることがあれば早めに近くの医療機関を受診し、すでに回復している方も再発を防ぐために生活習慣に気をつけましょう。