子どもが突然繰り返す嘔吐症状「自家中毒」ってどんな病気? -2018年4月27日掲載-

自家中毒とは、普段は元気な子どもが急に何回も吐く症状が数日続き、また元気になることを繰り返す病気で、周期性嘔吐症とも言われます。

「自家」の意味は「体の外からやってきた毒物による中毒症状ではなく、自分の体の中でできた物質による中毒症状」という意味で、自分の家という意味ではありません。よりわかりやすく伝えるために日本の医師が考えた呼び名だそうです。

したがって、なぜ起こるのか、どんな特徴があるのか、どういう状況で起こりやすいのか、実際かかったらどう対処すればよいのかをしっかり理解すれば決して怖い病気ではありません。必ず治るので心配せず落ち着いて対処しましょう。もちろん他の人に感染もしないので安心してくださいね。

なぜ起こる?

精神的な刺激に体が過敏に反応して症状が起こります。

具体的には……発表会等の前に感じる緊張や、遠足前に感じる興奮など、原因はさまざまです。

心配性の子どもや興奮しやすい子どもは、症状がでやすいのでその状態がひどくならないように落ち着かせることが大事です。保護者のかたは落ち込んだりうろたえたりせず、子どもが安心できるようにそばにいてあげてください。

他には運動会、寝不足、空腹、食べ過ぎ、プールで遊びすぎた後などでも起こることがあります。

自家中毒がよく起こる年齢は?

多くの場合2~5歳で発症し、5~6歳がピークで、10歳以上の子どもでは発症する例が少なくなります。特に筋肉量の少ない痩せ型の男の子に多いと言われています。

症状の特徴は?

最大の特徴は何度も繰り返す激しい嘔吐です。ただし、4~5日で治まり、また元気になるのでご安心ください。また、腐ったリンゴのような甘酸っぱい口臭があるのも特徴の一つです。

嘔吐以外にも倦怠感(だるい)、顔色が悪い、腹痛、頭痛、発熱など症状はその子によってさまざまです。

ピーク時には1時間に6回程度の激しい嘔吐を繰り返し、腹痛を訴える点においては食中毒やウイルス性胃腸炎に似ているので、きちんと病院に行って診察を受けたほうが良いでしょう。

自家中毒のメカニズム

通常私たちは、食物から取り入れたブドウ糖をエネルギー源にして体を動かしています。血液中のブドウ糖がなくなると、肝臓で糖を作ったり、蓄えていた脂肪を分解したりしてエネルギーにする機能が備わっています。脂肪を分解すると燃えカスとしてケトン体が出てきますが、実はこのケトン体こそが嘔吐の原因なのです。体内にケトン体が増加すると、血液が酸性に傾いて吐き気や倦怠感などの症状が現れます。

子どもに多い理由

子どもに自家中毒が多いのは、肝臓で糖を作る機能が発達しておらず、その分、脂肪を分解することが増え、結果としてケトン体が多くできやすいためと考えられています。

自家中毒になったらどうしたら良い?

病院では、吐き気止めの坐薬が処方され、口から水分を取れない場合は点滴をすることもあります。ただし、それらはあくまでも対症療法ですので、家庭でのケアが一番大切となります。

嘔吐を繰り返すと脱水症になるリスクが高くなるので、水分摂取が必要ですが、ただ水分をたくさん飲ませれば良いわけではありません。

スプーン1杯分の経口補水液を、10分間隔くらいで少量ずつこまめに与えるのがポイントです。一気に水などを飲ませるとかえって嘔吐をぶりかえしてしまうので、絶対にやめてください。

食事に関しては、嘔吐が治まるまでは基本的に絶食です。

お腹がすいたと言われたら、まずはアメ玉を1個食べさせます。エネルギー源となる糖分を簡単に速やかに摂取できるため非常に効果的です。しかもアメ玉は子どもが大好きなお菓子でもあり、嫌がることなくすんなり受け入れてくれるという面でも有効です。

それ以降は食欲があればおかゆ、すりおろしリンゴ、柔らかく煮たうどんなど糖質を摂取できる食事をさせ、安静にしながら回復を待ちましょう。