食中毒 ~おにぎりに潜むリスク~ -2017年5月31日掲載-

「おにぎり」で食中毒??

夏休みが近づき、海や山へピクニックに出かけるシーズンとなりました。
気温が高くなるこれからの時期には、弁当のおにぎり1個にも食中毒の可能性が潜んでいます。

昨年7月、海水浴に出かけた家族が昼食に持参したおにぎりを食べたところ、吐き気や嘔吐の症状を訴え、検査により食中毒と断定されました。そのおにぎりは、前日に握ったもので、当日は電車や海水浴場などで持ち歩いていました。
調理をした人などからおにぎりに黄色ブドウ球菌がつき、かつ高温下で長時間持ち歩いたことで、菌が増殖してしまったと考えられます。

食中毒とは

食中毒は、食中毒の原因となる細菌やウィルスが付着した食品や、細菌やウィルスが作る有害な物質が含まれた食品を食べることで起こります。食品の「味」「色」「におい」は変わらないため、気づくことがなく、食中毒にかかることがあります。

今回は5月から8月ごろに食中毒の件数が多い「黄色ブドウ球菌」について紹介します。

黄色ブドウ球菌とは

黄色ブドウ球菌は自然界に広く存在し、人の皮膚やのどにもいますので、通常はそれほど危険な細菌ではありません。しかし、調理する人の手や指に傷があったり、傷口が化膿していたりする場合は、食品を汚染する確率が高くなります。

汚染された食品(おにぎり、サンドイッチなど)の中で、菌が増殖し、毒素「エンテロトキシン」が作られると食中毒を引き起こします。「エンテロトキシン」は100度で30分間加熱しても壊れません。汚染された食物を食べると、食後1~5時間(平均3時間)ぐらいで、急激に吐き気や嘔吐、下痢などが起こります。

食中毒予防の3つの原則

  • 細菌をつけない。持ち込まない。
  • 細菌を増やさない。
  • 細菌を殺す。

食中毒予防の6つのポイント

食品の購入
  • 消費期限などの表示をチェックする。
  • 肉、魚はそれぞれ分けて包む(できれば保冷剤(氷)などと一緒に)
  • 寄り道しないでまっすぐ帰る。
家庭での保存
  • 帰ったらすぐ冷蔵庫に入れる。
  • 肉、魚は汁がもれないように包んで保存する。
  • 冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は-15度以下に維持する。
下準備
  • ゴミはこまめに捨てる。
  • こまめに手を洗う。
  • 肉、魚を切った調理器具は洗って熱湯をかけておく。
  • 肉、魚は生で食べるものから準備する。
  • 野菜はよく洗う。
  • 包丁などの器具、ふきんは洗って消毒する。
  • 冷凍食品の解凍は常温でせず冷蔵庫でする。
調理
  • 調理前に手を洗う。
  • 加熱は十分にする(中心部を75度で1分間以上が目安)。
  • 電子レンジを使う時は均一に加熱されるようにする。
  • 調理を途中で止めたら、食品は冷蔵庫へ入れる。
食事
  • 食事の前に手を洗う。
  • 清潔な器具、食器を使う。
  • 長時間、室温に放置しない。
残った食品
  • 作業前に手を洗う。
  • 手洗い後、清潔な器具、容器で保存する。
  • 時間が経ち過ぎたり、ちょっとでも怪しいと思ったら捨てる。
  • 温め直すときは十分に加熱する。

最後に

何よりもまず、手を洗うことが大切です。
そして、細菌を増やさないために、食品は冷蔵庫や冷凍庫に保管し、なるべく早めに食べましょう。持ち歩くときは、保冷剤などで常時10度以下を保つようにしましよう。

食中毒は簡単な予防方法を守れば防ぐことができます。
それでも、もし、お腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちがわるくなったりしたら、かかりつけ医に相談しましよう。